コラム
» 2012年04月23日 07時59分 UPDATE

藤田正美の時事日想:政治家が原発の安全性を判断することの愚 (1/2)

関西電力大飯3号機と4号機の再稼働問題が報道されるようになっている。その過程でいくつかの問題が浮上しているが、最大の問題は政治家が安全性を判断したことだと筆者は主張する。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 4月18日、原子力事故に関する国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(以下、国会事故調)を取材した。この日の参考人は原子力安全・保安院の深野弘行院長である。過去の委員会では、元院長である広瀬研吉氏や事故当時に院長であった寺坂信昭氏も参考人として呼ばれている。

国会事故調 第9回委員会 2012/04/18

 この日の委員会では、原発再稼働に関連する質問が多かった。現在、野田内閣は定期点検などで停止している原子力発電所を再稼働させようとしている。当面の焦点は関西電力大飯3号機と4号機だ。

 この委員会の10日ほど前になる4月6日、野田首相、藤村官房長官、枝野経産相、細野特命大臣の4閣僚は「原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」を発表した。内容を簡単に言うと、「津波による全電源喪失」が事故の要因であり、地震や経年劣化は原因とは考えにくいというのが基本認識だ。

 そして再稼働させるための条件として3つの基準を挙げた。1つは、所内電源設備対策、冷却・注水設備対策、格納容器破損対策、管理・計装設備対策からなる基準、2つ目はストレステストで確認しているとする基準、さらに電力会社が「さらなる安全性・信頼性向上のための対策の着実な実施計画が事業者により明らかにされていること」を基準である。これらの基準を満たしていることが再稼働の条件となるわけだ。

 これに先立つ3月28日に保安院は「東京電力福島第一原子力発電所事故の技術的知見について」と題する文書を発表し、そこで30項目からなる対策を列挙した。例えば、発電所内電気設備の位置を分散させるとか、浸水対策を強化するとか、外部からの給電(電源車)の容易化とかいった具合だ。

 ところがこの30項目の対策のうち、関係4閣僚が実施していなければならないとしたのは15項目である。つまり、残りの15項目については電力会社が「実行」を約束して行程表を提出すればいいということにした。例えば重要免震棟の設置や、ベントする時に放射性物質を出さないためのフィルターの設置などだ。

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