運転士の失神・発作……列車は大丈夫なのか杉山淳一の時事日想(2/4 ページ)

» 2012年04月20日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

ワンマン化が進む鉄道路線

 鉄道の場合、運転士が失神・発作を起こしたらどうなるだろうか。飛行機の場合は機長と副機長が乗務する。これは長距離運行の休憩交代の意味もあるが、真意は安全対策である。万が一の事態に備えて、操縦士を二重化している。鉄道の場合も基本的には運転士と車掌が乗務する。安全のために必要だからである。

 車掌の役目はドアの開け閉めと車内放送、きっぷの確認だけだと思われがちだ。しかし、もっとも重要な役目は「緊急ブレーキの操作」である。また、車掌には「列車防護」という役目もある。乗務した列車に事故が発生した場合、二次的な事故を防ぐために手配する業務だ。列車が脱線し、隣の線路にはみ出した場合、その情報が他の列車に伝わらないと、隣の線路の列車が衝突してしまう。

 車掌は重要な安全要員だ。しかし現在、ほとんどの貨物列車はワンマン運転である。車掌車も大型貨物など特別な輸送以外では使われないし、車掌室付きの貨車も見かけなくなった。そして、旅客列車もワンマン化が進んでいる。地方のローカル線はほとんどワンマン運転だ。都会の鉄道路線でも、短い車両編成の列車などでワンマン運転を採用している。

 では、ワンマン運転の列車で運転士が失神・発作を起こしたら、どうなるだろうか。列車が暴走したりしないのだろうか。古い映画だが、米国で『大陸横断超特急』という作品があった。運転士が悪人に殺され、列車がシカゴ駅に突っ込む。あんなことにならないのか。

JR四国8500系の運転台。防護発報スイッチは中央の赤い丸

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