今や老若男女を問わず、愛されるようになったアニメーション。「日本のアニメーションは世界にも受け入れられている」と言われることもあるが、ビジネスとして健全な成功を収められている作品は決して多くない。この連載では現在のアニメビジネスについてデータをもとに分析し、持続可能なあるべき姿を探っていく。
「初回の原稿はスタジオジブリ(以下、ジブリ)について」という編集からのお達しに頭を抱えた。今や、国民的映画となったジブリ作品。それについて語るのは、あまりにも荷が重い。とはいえ、アニメ産業を語る上でその存在を無視することができないのも確かだ。
ということで、2011年の『コクリコ坂から』と2012年公開予定の宮崎駿、高畑勲作品の狭間にある2012年現在のジブリの状況について今回は述べてみたい。
ジブリとはどういう存在なのか。アニメという枠を超えた社会的存在となっていることは間違いないが、そのビジネスモデルは日本では比較する対象がないので把握しづらい。
なぜならテレビアニメが主流の日本において、ジブリは原則的にオリジナル※の劇場アニメしか手がけない唯一無比のアニメスタジオであるからだ。
その意味では、ピクサーやドリームワークスのようなハリウッドタイプのスタジオと言える。そもそも映画ビジネス自体が高いリスクをはらんでいる中、技術的にはもちろん、ビジネス的にも難易度の高い劇場オリジナルアニメを作り続け、かつそれを成功させているジブリは日本では孤高の存在なのである。
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