インタビュー
» 2012年04月16日 08時00分 UPDATE

New Order ポスト・ジョブズ時代の新ルール:ソーシャルメディアがオフラインの交流も変えた――津田大介が語る、コミュニケーション革命 (1/3)

スマートデバイスとソーシャルメディアの普及がもたらしたのは、膨大な情報へのアクセスと、あらゆる人とのコンタクトの機会。その圧倒的な量を前に、どのようなつながりを、いかにして結んでいくべきか? 津田大介氏がこれからのコミュニケーションのあり方を説く。

[取材・文/瀬戸友子 撮影/竹井俊晴,エンジニアtype]
エンジニアType

「New Order−ポスト・ジョブズ時代の新ルール−」とは

『エンジニアtype』が創刊1周年を記念して贈る特別企画。スティーブ・ジョブズが遺したイノベーションを進化させ、新しいスタンダードを生むために乗り越えるべき壁とは何か? 新たな価値創造にのぞむ各界の大物10人が、時代の新ルールのあり方について語る。


 iPhoneを始めとするスマートデバイスとソーシャルメディアの普及がもたらしたのは、膨大な情報へのアクセスと、あらゆる人とのコンタクトの機会。その圧倒的な量を前に、どのようなつながりを、いかにして結んでいくべきか?

 エンジニアに「異質なものとの組み合わせ」を勧める津田大介氏が、これからのコミュニケーションのあり方を説く。

ah_tuda1.jpg 津田大介氏

津田大介(つだ・だいすけ)

ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。1973年生まれ。早稲田大学在学中からITやネットに関する文章を多くの媒体で執筆。2006年から2008年まで文部科学省の文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の専門委員を務める。2007年に「インターネット先進ユーザーの会(現一般社団法人インターネットユーザー協会)」を設立。Twitter活用の先駆者として知られ、近著に『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『動員の革命』(中央公論新社)がある。関西大学総合情報学部特任教授。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。


Webの世界はアプリが中心に

―― ソーシャルメディアの利用が生活に浸透してきたことは、既存メディアにどのような影響を及ぼすのでしょうか?

津田 スマートフォンやタブレットの普及が一気に進んでいる中、今後Webの世界では、アプリが中心になるだろうと考えています。これまでのようにWebでニュースを見るよりも、アプリの最適化された環境で情報を仕入れるようになる。こうしたアプリ中心のビジネスモデルは、ジョブズが作った大きな功績の1つでしょう。

 アプリの世界は、何と言ってもマネタイズがしやすい。個人でも、自作のアプリで大ヒットを飛ばすエンジニアが出てきていることから、ロングテールでクリエイターが育っていると言えます。

 一方、マスメディアにも動きがあります。大手新聞社は、ニュースサイトからニュースアプリに軸足を移しつつあり、原則として記事を有料化する方向に向かっています。

 こうなると、情報は無料であるのが当たり前の世界から、有料の情報を取りに行く世界になってくる。しかし、メディア各社は以前ほどの売り上げは確保できません。「紙の新聞に月4000円を支払うなら、もっと低額の電子版にしよう」と思うユーザーも増えてくるはず。

 マスメディアだけが情報を独占する時代は終わり、会社の規模も縮小せざるを得ないでしょうね。2000人の記者を抱える組織が、1000人や500人くらいのサイズになっていくかもしれません。

 もちろん、新聞やテレビがなくなるとは思えません。プロフェッショナルとしてのジャーナリズムが消えることはありませんし、これからも自分たちで取材して一次情報を集めてくる役割を担っていくことでしょう。また、情報が有料化されると言っても、ストレートニュースのような一定の報道は今後も無料で続いていくはずです。

 ただし、そこから一歩突っ込んだ調査や専門家による知見については、ソーシャルメディアが最初の情報流通の起点となり、流通した知見がマスメディアによってピックアップされたことで再拡散され、そのフィードバックがソーシャルメディアに逆流してくる――。そんな流れが当たり前になるんだと思います。かつてはみんな、マスメディアから一方向で流される情報を、疑いもなく享受していましたが、もはやマスメディアは絶対的存在ではなくなりました。

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