翌日。再び自宅でホリウチくんが惰眠をむさぼっていると、またもや玄関のチャイムがけたたましく鳴った。
「ピンポーン! ピンポンピンポーーーン!」
寝ぼけ眼で降りていくと、そこに立っていたのは電源ガールだ。「あっ、電源ちゃん……昨日は急にいなくなっちゃったからビックリしたよ。どうしたの、また電気?」
「私、もう東京を出て北を目指すことにしたから。一応電気を借りた恩もあるし、それだけ伝えようと思って。じゃあね」
くるりときびすを返して立ち去ろうとする電源ガールを、ホリウチくんは慌てて呼び止める。「ちょ、ちょっと待ってよ」「何?」「もう行っちゃうの?」「うん。行く」「北って、どこに行くの?」「……うーん、とりあえず埼玉行って、その後は栃木かな? 目的地は青森だし」「僕もついていっていい?」「は!? どこまで?」
ホリウチくんは照れくさそうにエヘヘヘと笑った。「いや、僕も明日から仕事だし、さすがに青森までついていくつもりはないけど。でも、埼玉くらいなら……帰りは電車に乗って帰ってくるからさ、途中までクルマに乗せてよ」
「うーん、まあ、埼玉までなら……」押し切られるような形で電源ガールは了承し、2人はクルマに乗り込んだ。電源スイッチを入れて、G-BOOKを立ち上げる。
「ルート上に、トヨタのお店があるから……ここで充電させてもらおうかな」
G-BOOKで充電ステーションを検索すると、電気のコンセントのようなマークが表示される。無印のマークとトヨタのロゴ入りの2種類があり、トヨタのロゴ入りの場所にはG-STATIONという充電設備があるのだ。
「このクルマ、相変わらず静かだね」「そうね」「電源ちゃん、ずっと運転してて疲れないの?」「別に」
会話がまったく弾まないまま1時間ほど走ると、G-BOOKが指し示したトヨタカローラ店に到着した。裏手のほうからクルマに乗って入っていき、クルマを降りるとカウンターでプリウスPHVを充電したい旨を伝える。
「おおっ、プリウスPHVですね! G-STATION、大丈夫です空いてますよ。どうぞどうぞ。ドライブサポート会員には登録されてますよね?」「はい、登録しています」
受け付けてくれた担当のおじさんはなんだかとてもうれしそうだ。「実は私、つい先週お客様にプリウスPHVを1台納車したばかりなんですよ。初めてだったので、G-STATIONの使い方についても最近勉強したばかりなんです。うれしいなあ、うちのG-STATION使うの、これが2回目ですよ」
電源ガールは青いカードを取り出すとおじさんに渡した。「G-STATIONのカードです」「はい、お預かりします」
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