なぜ部下育成はうまくいかないのか?新連載・部下育成の教科書(4/5 ページ)

» 2012年04月12日 08時00分 公開
[Business Media 誠]

部下に任せたくても任せきれない現実……任せずに、疲弊 

 皆さんは、業績を上げるだけでなく、部下を育成することも自分の仕事であると、頭では理解していることでしょう。そして、部下を育てるためには、部下に仕事を任せるのが一番の方法だということも分かっていると思います。しかし、「部下に仕事をどんどん任せて育ってもらいたい」と願いながらも、現実には思いどおりにはいきません。実際には、様々な部下がいて、マネジャーと部下との関係は難しいものになっています。

 例えば、部下にとってよい成長の機会になると思って挑戦的な仕事を与えてみたら、「そんな難しい仕事はできません!」と尻込みしてしまう部下がいます。部下は、失敗を恐れて、「自分には無理だ」とあきらめてしまっています。

 このようなことは、仕事よりもプライベートの充実を重視する若手に多く見られるようです。プライベートを犠牲にしてまで仕事に没頭することをよしとしない価値観を持つ部下は、仕事の面白さや醍醐味を経験する前に、一歩引いてしまうのです。

 この尻込みは、実はマネジャーの補佐役であるベテランメンバーにも見受けられます。「次期マネジャー候補」として職場運営に積極的に参加することを望むものの、マネジャーになりたがらないベテランメンバーがいるのも現実。当の本人は「そこまでの責任を負いたくない、今のポジションで満足だ」と思っていることが多いのです。

 職場全体を眺めても、マネジャーにとって辛い状況が見えてきます。日々多忙な職場では、一人ひとりが自分の仕事に集中するあまり、お互いにサポートし合う時間的な余裕が(心理的な余裕も)なくなりやすいものです。こうした職場では、多くのマネジャーはまだ十分な力をつけていない新人や若手へのサポートに時間を費やす一方で、中堅社員やベテランメンバーには目が行き届かなくなりがち(放置状態になりがち)です。結果として、部下同士でサポートし合おうとする関係性はますます希薄になり、孤軍奮闘の職場になっていきやすいのです。

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