インタビュー
» 2012年04月12日 08時00分 UPDATE

New Order ポスト・ジョブズ時代の新ルール:「ニーズは発明の後に生まれる」――ロボットクリエイター高橋智隆が語るモノづくりの新機軸 (1/4)

世の仕組みを変えうるプロダクト創出の条件として、「機能対デザインの争いから脱却し、自分が面白いと思うものを徹底的に追求すること」を挙げるロボットクリエイター・高橋智隆氏。なぜ今、“あえてユーザーニーズを聞かない”プロダクト開発が、重要性を帯びてきているのか?

[取材・文/瀬戸友子 撮影/竹井俊晴,エンジニアtype]
エンジニアType

「New Order−ポスト・ジョブズ時代の新ルール−」とは

『エンジニアtype』が創刊1周年を記念して贈る特別企画。スティーブ・ジョブズが遺したイノベーションを進化させ、新しいスタンダードを生むために乗り越えるべき壁とは何か? 新たな価値創造にのぞむ各界の大物10人が、時代の新ルールのあり方について語る。


 世の仕組みを変えうるプロダクト創出の条件として、「機能対デザインの争いから脱却し、自分が面白いと思うものを徹底的に追求すること」を真っ先に上げ、ジョブズのやり方に賛同の意を示す、孤高のロボットクリエイター・高橋智隆氏。

 なぜ今、“あえてユーザーニーズを聞かない”プロダクト開発が、重要性を帯びてきているのか?

ah_takahasi1.jpg 高橋智隆氏

高橋智隆(たかはし・ともたか)

ロボットクリエイター。株式会社ロボ・ガレージ社長、東京大学先端研特任准教授。1975年生まれ。2003年京都大学工学部卒業と同時に「ロボ・ガレージ」を創業し、京大学内入居ベンチャー第一号となる。代表作に『ロピッド』、『エボルタ』、『FT』、『クロイノ』、『Gabby』、『タチコマ』など。ロボカップ世界大会5年連続優勝。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定。エボルタによるグランドキャニオン登頂、ルマン24時間走行等に成功しギネス世界記録認定。現在、ロボ・ガレージ代表取締役、東京大学先端研特任准教授、福山大学/大阪電気通信大学客員教授、ヒューマンキッズサイエンスロボット教室顧問。著書に『ロボットの天才』(メディアファクトリー)ほか。


ジョブズは特別なセンスの持ち主ではない

――アップル製品ならではのシンプルでスタイリッシュなデザインは、多くのユーザーの心をつかんでいます。ハードウエアデザインに、ジョブズが与えた影響とは何でしょうか?

高橋 ジョブズを天才と称える人もいるけれど、何も特別なセンスの持ち主だったわけではないと考えています。デザイン的には当然こうすべきだ、これはおかしいだろうということを、片っ端から指摘して妥協を許さなかった。そこまで徹底したからこそ、あれだけの製品ができたのでしょう。彼のレベルにまで完璧を求め続ける行動力や権限を持った人は今までいなかったのです。

 そうした製品を通じて、ジョブズはデザインの重要性を示したと言えるかもしれない。ただし、実際に他社が同じことをできるかといえば、なかなか難しい気がします。

 デザインへのこだわりが感じられない製品群は、相変わらず存在している。製品本体のデザインは良くても、充電器、ACアダプタなどの付属品や、パッケージにまで気配りが行き届いていないという事例も目に付きます。

 ハードウエア製品は、素材から形状まで、どうしても量産の都合で決められてしまうことが多い。また、デザイナーの権限が小さいとか、開発期間やコストが厳しいとか、それぞれ事情があるでしょう。

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