これからテレビはどんな風になっていくのか? 米国でもさまざまな議論があるそうだが、大きく分けると次の3つになるのではないかと思う。
前述のコラムでも、わたしは「セカンドスクリーン」が、未来のテレビのカギを握るのではないかと書いた。スマートテレビがやるはずだったことの多くは、すべてスマートフォンやタブレットなど“もう1つの画面”でやる。これの証左と言えるのが音楽で、すでに楽曲は手元のiPodやiPhoneに集約され、ドック機能を備えたオーディオ機器につないで使っている。これは、「テレビは要らない」という意見なのかもしれない。テレビは、ちょうど音楽におけるスピーカーのような“ただの画面”になる。
この2社は、スマートフォンでやっている商売をそのままテレビに持ち込もうとするに違いない。Google TVについては、過去のこのコラムでも「Google TVなんていらないよ(いまのうちは)」で、アプリ、配信・課金、広告のすべてをカバーするモデルは、封建時代に逆戻りだとわたしは書いた。現行のApple TVは、iTunes Store以外にも対応するが、「スティーブ・ジョブズが音楽を殺した」という意見もあるくらいだから、警戒する声があるのも無理はないだろう。
日本や韓国のテレビメーカー、VIZIOやInsigniaといった新興ブランドは、いままでのテレビの延長線上での進化を考えている。これまでテレビを作ってきた技術に加えて、デジタルビデオのチップや著作権保護などのソフトウェアとの組み合わせが必要になる。Flingoのソリューションを採用したテレビやセットトップボックス(セットトップボックス)では、広告収入をテレビ局、コンテンツホルダー、メーカーなどとシェアする仕組みがあるそうだ。エコノミクスという意味では、テレビは、米国で600億ドル市場といわれてきたテレビ広告のための装置である。
今までテレビに関係してきた企業のほか、HuluやNetflixなどの配信会社、Yahoo!などのネット企業もからんでくるから、テレビのイノベーションは、もっとほかの形で起こるのかもしれない。デバイスを組み合わせれば作れるので、バッファローの全録レコーダー「DVR-Z8」のように(参照リンク)、コンピュータ周辺機器のメーカーも参入できる。
しかし、テレビの未来は、テレビというものがどのように使いやすく「抽象化」されるかにかかっていると思う。テレビが20世紀の歴史を左右するほどのインパクトを持っていた理由は、もちろん映像をライブでお茶の間に届けられるという点が99%を占める。しかし、残りの1%は、本来ラジオのように連続的であるはずの電波を、「チャンネル」という概念をひねりだして抽象化したからとも思える。
Copyright© ASCII MEDIA WORKS. All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング