コラム
» 2012年04月11日 08時00分 UPDATE

インターネットにプライバシーはない (1/2)

不特定多数のユーザーが接続するインターネットでは個人情報の管理に細心の注意を払うべきだが、それでも必ずプライバシーが守られるとは思わない方がいい。

[トッテン ビル,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:トッテン ビル

アシスト会長。1969年に米国の大手ソフトウエア会社の一社員として市場調査のために来日し、1972年にパッケージ・ソフトウエア販売会社アシストを設立、代表取締役に就任。2006年、日本に帰化し日本国籍取得。2012年、会長に就任。


 先日、検索サイト「グーグル」でプライバシーを侵害する予測検索結果が表示され名誉を傷つけられたとして、ある男性が米国のグーグル社に表示の差し止めを求める仮処分申請を行った(「Google検索サジェスト、地裁が表示差し止め命じる 犯罪連想でプライバシー侵害」)。

 その機能は、検索単語を入力すると関連性の高い別の単語が表示されるもので、その男性は数年前から犯罪行為に関与したとする中傷記事がインターネット上に掲載されるとともに、検索サイトに男性の名前を入力すると、犯罪行為が関連検索候補として表示されるようになったという。これによって退職に追い込まれたというのが男性の主張だ。

 このため検索サイトであるグーグルに表示の差し止めを求め、東京地方裁判所は男性の申請を認めるとしたが、驚くことにグーグル社は、米国ではこの機能は違法ではないし、単語の併記はプライバシー侵害にはあたらないとして、表示は止めないと主張しているという。

 「インターネットにプライバシーはない」というと、「自分は悪いことをしていないから、別に問題はない」という人がいるが、この男性のケースをどう思うだろうか。たとえ身に覚えのないことであっても、悪意のある人によって偽りの情報を掲載されるとそれがあっという間に広がるのがインターネットの世界ではないか。自分は匿名のまま、悪意をもって誰かを陥れようとすることが可能なのである。

 さらに驚くべきことは、「米国で違法でないから日本でもやってよいのだ」というグーグル社の対応である。ここは日本であり、日本の裁判所が認めたのであればそれに従うべきであると私は思う(TPPやACTAのひどいところはまさにこれである)。

 グーグル社は以前から米国政府に情報を提供していることで知られている。テロとの戦争から始まった(実際はそれ以前から諜報行為を行っていたが)米国政府の国家安全保障という名の下で行うスパイ行為はまた、大きなビジネスであり、The Registerによると、グーグルは政府から要求されたユーザーの情報開示について、1人あたりの情報開示に25ドルの手数料を請求しているという(ヤフーは29ドル、マイクロソフトは無償で応じているとのこと)。米国政府はグーグルのビッグユーザーだ。

 グーグルはこれ以外にも、CIAなどとともに、未来を予測する分析システムを提供するRecorded Futureという新興企業に投資している。これはリアルタイムにWebサイト、ブログ、ツイッターアカウントなどを監視し、人間関係、組織、行動や出来事の関係などを明らかにしてそのユーザーに将来起こりそうなことを予測するというものだ。グーグルにとってデータは価値ある商品であり、その商品が誰の手に渡り、どのように使われるかは問題ではないのだろう。

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