――こうした変化は、消費者や作り手といった個人にとって、どのよう影響をおよぼすのでしょうか?
中島 エンジニアのような知識労働者は、個々の能力や意欲によって、生産効率にかなり開きがあります。企業にとっては、いかに優秀な人材を集めてモチベーションを高めていくかが重要です。
報酬だけでは、より給料の高い会社に移ってしまうかもしれない。実は社員の意欲をドライブするのは、やはり「Why?」なんです。
Facebookのマーク・ザッカーバーグは、「我々はソーシャルネットワークを作るための会社で、金もうけが目的ではない(外部リンク)」と明言しました。あのメッセージは、株主もそうですが、何より社員の心に響いたと思います。
シリコンバレーでは、優秀なエンジニアはすぐに引き抜かれます。もっと給料の高い会社がほかにあっても、たとえ仕事が厳しくても、「Why?」に共感しているから、みんながここで頑張ってすごいことを成し遂げる。それがユーザーの共感を呼び、口コミが広がって、利益となって返ってくる。逆に最初から金もうけを狙っている会社は、金もうけができないということです。
シリコンバレーのスタートアップ企業でも、動機が不純なところはたくさんあります。その点で、Facebookも異端児ですよね。さっさと会社を売り払って億万長者になろうと思えばなれたのに、そうしなかったんですから。
若いエンジニアには、こうした流れをしっかりと見てほしいですね。この流れを見たら、やはりもうけのために事業をしているような会社に入ってはいけない。経営者が熱い思いをもって「うちはこういう会社なんだ」と明確なビジョンを打ち出しているところに、自分がその思いに共感できる会社に行くべきですよ。
「大企業に入れば安心」という考えはもう捨てるべきです。まだしばらく時間は掛かるだろうけど、確実にビジネスは次のフェーズに移りつつある。20年、30年のスパンで考えた時、ビジョンを持たない会社に入ると、必ず後悔することになります。
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