なぜ「孤独死」が増えているのか? 減らす方法はある窪田順生の時事日想(1/5 ページ)

» 2012年04月03日 08時01分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生の時事日想

 物事には必ずコインのように表と裏がある。それはビジネスも然り。詐欺や裏取引、あるいは法の網を巧妙にかいくぐったグレー商法……。もちろん、それらは断罪されてしかるべきだが、そんな「裏」から若きビジネスパーソンが学ぶことは多い。人々が何を欲し、社会には何が足りないのか。つまり、日本経済の「裏」を知ることができるからだ。

 火曜日の時事日想は、テレビ、全国紙、週刊誌といういわゆるニュースの現場を経験してきただけではなく、実話誌などで裏ビジネスなどの取材を続けてきた筆者が、巷にあふれる事象を「裏」から読み解いていく。


 ここ数年、テレビや新聞を見ると、やたらと「孤独死」が目につく。

 昨日(4月2日)も、埼玉のアパートで死後2年以上経過した白骨化遺体が見つかったと報じられたし、60代の夫婦と30代の息子がミイラ化して見つかるといういたましい事件もあった。

 私は、もうかれこれ10年前ほどから孤独死の取材を続けている。今ではずいぶんメジャーな存在になった遺品整理屋や特殊清掃、そして死体撤去業も2003年ごろから取材を行ってきた。死臭漂う孤独死の現場にも足を踏み入れ、実際に「後片付け」も経験させてもらったことがある。

 そんな取材を続けていると、この問題の背景に、高齢者やひとり暮らしの方が心不全などの急病で倒れてしまった時に助けてもらえない「環境の孤独」とともに、もうひとつ「心の孤独」というものが大きいことに気づく。

70代の女性が孤独死した部屋。浴槽にゴミ袋が高く積まれている
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