「青春18きっぷ」廃止の噂はなぜ起きたか杉山淳一の時事日想(3/4 ページ)

» 2012年03月30日 08時02分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

他の鉄道会社が迷惑している

 JRではない路線でも青春18きっぷで乗ろうとする人がいる。これは私も見たことがある。しかし、現場の職員が困惑するような場面ではなかった。「ウチはJRではないのできっぷが要りますよ」と係員が言えば、言われた方は「そうですか」と運賃を支払う。それだけのことである。他の鉄道社員がこれを「迷惑だ」「説明が面倒だ」と言うなら、仕事に対する姿勢を問われる。

 お客が素直にお金を払ってくれるなら、青春18きっぷのお陰で増収になったわけだ。むしろ青春18きっぷのお陰で流れてきてくれるわけで、青春18きっぷはありがたい存在だ。やめてほしいわけがない。第3セクターの中には、青春18きっぷユーザー向けのオトクなフリーきっぷを販売する会社もある。商売上手だと思う。

五能線の「リゾートしらかみ」。普通列車扱いのリゾートトレインは、青春18きっぷでも指定席券を購入すれば乗車可能だ

ルールを知らない利用者が増えている

 青春18きっぷは雑誌などでたびたび紹介される。その際にサンプルとして掲載される写真は、たいてい「きっぷ本体」だけである。しかし実際に購入すると、細かな注意書きを記した紙が何枚かついてくる。アンケートもあるので結構な枚数だ。その注意書きの中に「使用を開始したら払い戻しはできない」「運休時の特急などへの振替はない」などと明記されている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.