非モテ男、電源ガールと等身大ガンダムを見に行く【デート編】：プリウスPHVでモテる？（4/5 ページ）

[吉岡綾乃，Business Media 誠]

電源ガールがやってきた理由

　「そういえば、電源ちゃんはどこから来たの？　レインボーブリッジを初めて見たってことは、東京の人じゃないよね」「そう、東京は初めて。福岡から来て、青森へ向かう途中よ」「えっ、もしかして、福岡からここまで、クルマで一人旅してきたの?!」「うん。パパがこの春転勤になったからみんなで引っ越すことになってね。パパとママはもう青森にいるんだけど、ちょうど春休みで暇だから、私がこのクルマを運転して青森までドライブ旅行がてら持っていくことにしたの」

　「え〜っ。でも福岡から青森なんてめちゃくちゃ遠いでしょ。クルマを送った方が早いだろうに……」「私はクルマ運転するの好きだからいいのよ、このクルマ買ったばかりだから、送って傷とかついたら嫌だしね」

　さっきは名前も教えてくれなかった電源ガールが、打ち解けて自分のことを話してくれている！　ホリウチくんは感激して電源ガールとの距離を一歩縮めようとした。が、電源ガールは気がついているのかいないのか、サッと離れて微笑む。「さっ、ホリウチくん。おしゃべりはこれくらいにして、次行こう！　ガンダムを見に行くんでしょ？」「……あ、ハイ……そうですね……（残念）」

等身大ガンダムを探せ！

　2人は駐車場に戻ると、クルマを外に出し、とりあえず大きな道路に沿って走ってみることにした。日本科学未来館の脇の道を走っていくと……見えた、ガンダムだ！

　「あった、ガンダム！　電源ちゃん、近くまで行ける？」「うーん、分からないけどとりあえず行ってみるね」

　道路を走って等身大ガンダムに近づいてみたが、ガンダムの回りには空き地や枯れた芝生が広がり工事中のようだ。「うーん、これ、近くにクルマ止められるかな……」「あっ、なんか茶色い建物にダイバーシティって書いてある。そういえば『ダイバーシティ東京』ってどこかで読んだな……」

　ガンダムに近付くべく道路を走ること数周。電源ガールはジャマにならなさそうなところにクルマを止めた。「ここなら大丈夫じゃないかな」

　2人はクルマを降りると、等身大ガンダムに向かって歩き始めた。「ホリウチくん、それで、あのガンダムは何なの？」

　ホリウチくんは持っていたGalaxy Tabに「ダイバーシティ東京　ガンダム」と話しかけると、検索結果の中から詳しそうな記事を探し出した。「4月19日に臨海副都心エリアにて開業予定の複合施設『ダイバーシティ東京 プラザ』内に、ガンダムをテーマにした『ガンダムフロント東京』をオープンさせる……と、ITmediaに書いてあったよｗ」

　「4月19日オープン？　まだ営業してないじゃない……それなのに行くの？」「えっ、そんなこと言わないで行こうよ……近づくだけでもいいからさ」「だって私、ガンダム見たことないもん」「いいからいいから」

　工事中の公園の中を歩いて行くと、等身大ガンダムの回りにはロープが張ってあり、すぐ近くには行けないようになっている。

　「ガンダムだね」「うん、ガンダムだね」「それ以上でもそれ以下でもないよね」「……電源ちゃんの言うとおりだね……」

　お台場といえばデートスポット、開業目前のダイバーシティ東京で、話題（になる前）のガンダムを見ればきっと喜ぶはず！　そんなホリウチくんのもくろみは簡単に崩れ去った。そもそもホリウチくん自身が大してガンダムに詳しくない上に、電源ガールもガンダムにはまったく興味がないらしい。考えてみたら、さっきDECKSからレインボーブリッジを眺めていたときのほうがよほどご機嫌だったじゃないか。マズイぞ……。