誠編集部の非モテ記者、ホリウチくん。性格も温厚だし、悪いやつではないのだが、どうも「モテる感じ」ではないのだ。誠 Biz.IDの企画で、彼をモテさせるべくあちこちのキャバクラへ連れて行ってみたりしたのだが、やっぱりダメらしい。
しかしある休日の朝、ホリウチくんの家に、「電気を貸してほしい」という、見知らぬ可愛い女の子がやってきた。水色のプリウスPHVに乗った彼女は、クルマを充電しながら「充電が終わったら、お礼にドライブへ行こう」とホリウチくんを誘った……。
→連載第2回 非モテ男、電源ガールと等身大ガンダムを見に行く【デート編】
→連載第3回 非モテ男、電源ガールとプリウスPHVを充電する【最終回】
「そろそろプリウスPHVの充電も終わったはずだが……」
ホリウチくんはそっと、玄関横のガレージの様子をうかがいに行ってみた。相変わらず水色のプリウスPHVが止まっている。
そっと車内をのぞき込むと、電源ガールが運転席のシートを倒して眠っていた。
「まだかなぁ……起こしたら怒るかなぁ……ん〜」逡巡していると、パチッと目を見開いた電源ガールと目があった。「うわっ、何してんのっ! というか、何見てんのっ!」
マズイ、怒らせたか。いやでも、充電が終わったらドライブに行こうといったのは電源ガールの方ではないか。うむむ……と頭のなかで言いたいことと言えないことがいろいろ渦巻いている間に、電源ガールがハッと何かを思い出したような顔になった。
「ごめーん、そういえば私、充電終わったらドライブ行こうって言ったよね。起こしに来てくれたのね、ありがとっ。」
ちょっと前まで「なんだこいつ」と思っていたのに、可愛い女の子にニコッと笑いかけられると怒りがどこかに消えてしまう、お人好しのホリウチくんである。「じゃあ、充電終わったかどうか見てみるね?」電源ガールはそう言って、運転席のところにあるPOWERボタンを押した。フロントパネルに「充電が完了しました」というメッセージが表示される。
「あ、大丈夫みたい。じゃあ行こうか……ホリウチくん、助手席乗って。それともホリウチくんが運転する?」
(いや、そもそもクルマ運転できないし……)という言葉を飲み込み、無言でホリウチくんは助手席に乗り込んだ。
「じゃあ、出かけよっか。しゅっぱーつ……あれ? あれれ?」電源ガールはサイドブレーキを解除し、アクセルを踏んで発車しようとするのだが、クルマが動かない。
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