コラム
» 2012年03月28日 08時00分 UPDATE

「あのテレビCMの成果だってよ、うはははは」と広告代理店の人は言った (1/2)

数年前、あるテレビCMの成果について、そのクリエイターが気にしていないようにみえたことに驚いた筆者。しかし、それは青い考え方だったと振り返る。

[安田英久,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:安田英久(やすだ・ひでひさ)

インプレスビジネスメディアWeb担当者Forum編集長。プログラミングやサーバ、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、現在、Webサイト「Web担当者Forum」編集長。ビジネスにおけるウェブサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開している。


 「あのテレビCMの成果だってよ、うははははは。成果ですか、まいったな、編集長さまは!」

 そう言って乾いた笑いを発したのは、ある広告代理店の人。4〜5年ほど前だったでしょうか。マス広告に強く、デジタル広告も手がける広告代理店さんの忘年会にうかがった時のことです。

 「あのスゴいテレビCMを手がけた男ですよ、こいつは」とクリエイターさんを紹介された時に、私が「なるほど、して、その効果はどうだったんですか?」と聞いたことに対する反応でした。

 まだ若かった私は「やっぱりマス広告の人たちは成果とか気にしてないんだな」と思って話題を変えましたが、後になって、そのやりとりを思い出しては恥ずかしくなったものです。

 というのも、その反応を私は「成果とかそんなに意識していなかったから、そこを指摘されると厳しい」という意味だと思ったのですが、恐らく彼らは「直接の売り上げみたいな成果を目的にやる案件じゃないよ。そんな近視眼的な話をされても困る」という反応だったのだろうな、と。

 当時はWeb担当者Forumを立ち上げたころで、リスティング広告やSEOに夢中になっていた私の意識はやはり「費用対効果」というところにありました。しかし、企業のマーケティング活動は最後の刈り取り部分だけ見ていても回りません。制作にも枠にも大々的に予算をかけて継続的にマス広告を出していくような業種ではなおさらです。

 くだんのクリエイター氏の手がけた案件は、恐らくもっと手前の、市場を作ったり、知ってもらったり、好感度を高めたりといったことが目的だったのでしょう。そりゃ、テレビCMですからね。

 もちろんテレビCMでも成果を何らかの形で測ることはできます。視聴率はもちろん、分単位のアクセス解析により、テレビCMが企業Webサイトへのアクセスにどの程度影響を与えたかは調べられますし、実店舗での販売にも動きが出ることでしょう。

 でも、世の中の多くの人の態度変容を「成果」として細かくとるのは、不可能だとは言いませんが、アクセス解析ほどの回転速度でPDCAを回して行うべきものだとは言えません。

 そうした態度変容を期待されるぐらいの案件を任されている人に「で、成果は?」なんて聞けば、そりゃバカにされても仕方ないでしょう。

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