コラム
» 2012年03月23日 08時03分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:「青春18きっぷ」が存続している理由 (1/5)

鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。

[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 JR旅客グループ各社が販売する「青春18きっぷ」は、簡単に言うと全国のJRの普通列車が1日当たり2300円で乗り放題になるきっぷだ。毎年、春・夏・冬の一定期間に販売される。青春18きっぷの「18」は、青春を象徴する年齢の18歳からと言われているが、実際には年齢制限はない。私のような鉄道ファンだけではなく、旅行好きにも人気があって、上手な利用法やモデルコースなどが雑誌やWebサイトなどで紹介されている。最近ではシニア層でも人気が高まっているようだ。

 その人気のきっぷについて、毎年のように「廃止」の噂が流れている。もちろんJR各社とも廃止を発表していない。しかし、愛好者たちは一抹の不安を抱えている。正直に言うと、私もちょっと不安である。なぜなら、今年の青春18きっぷも春用の利用期間のみ発表され、夏版・冬版については「別途お知らせします」とされているからだ。

yd_sugiyama1.jpg 青春18きっぷ

2010年の廃止ショック

 青春18きっぷ廃止説が最高潮に達した時期がある。2010年の春だ。JR旅客グループ各社は毎年2月ごろに青春18きっぷの利用期間を発表する。しかし2010年版については春と夏だけを発表し、冬版に「詳細が決定次第、別途お知らせいたします」とされた。文字通りに解釈すれば、廃止ではなく別途発表であるが、某駅で「春と夏だけです」と案内されたという噂が流れた。ネット時代である。この話はあっという間に広まった。

 しかし実際は冬版も発売された。ただし内容に変更があり、この年に開業した東北新幹線八戸−新青森に関連して、並行在来線の「青い森鉄道」に転換された八戸−青森間に関して「JR東日本の接続駅まで通過するだけなら乗車可能」とされた。青い森鉄道への転換によって、下北半島の大湊線がJR東日本としては飛び地になってしまう。そのための便宜処置である。これに関して青い森鉄道との調整が必要であり、2月の発表では間に合わなかったようだ。2011年版もこの制度は継承されて、2月に春・夏・冬版が同時に発表された。

yd_sugiyama5.jpg 2010年冬から「青い森鉄道通過」の特例が追加された。赤い線が青い森鉄道で、太線が通過乗車可能区間。青い線はIGRいわて銀河鉄道。黒い線がJR在来線。東北新幹線は省略


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