連載
» 2012年03月19日 08時00分 UPDATE

インサイド・アップル(3):アップルが秘密主義を徹底させている理由 (1/3)

アップルの元社員はこのように言った。「(アップルは)知らせない文化の究極形」だと。秘密主義を徹底させるために、オフィスの中ではどのようなシステムが構築されているのか。またジョブズはウォルト・ディズニーから何を学んだのか。

[アダム・ラシンスキー,Business Media 誠]

インサイド・アップル

yd_applebook.jpg

 この連載は『インサイド・アップル』(早川書房)から抜粋、編集したものです。

アダム・ラシンスキー(Adam Lashinsky)氏のプロフィール

「フォーチュン」誌シニアエディター。専門はテクノロジー・金融。イリノイ大学で歴史学および政治学の学位を取得。シリコンバレーとウォール街をフィールドとするトップジャーナリストの一人として知られ、「フォーチュン」誌ではアップルの他、グーグルやHP等に関する特集記事を多数執筆。とりわけ本書の元となった、アップルの組織図や内部システムを明らかにした2011年5月のスクープ記事“INSIDE APPLE”は大きな反響を呼んだ。


 アップルはたいへんな手間暇をかけて規律を維持する。

 「とにかく極秘中の極秘の事項があった」。元上級幹部は言う。「あるプロジェクトを手がけたときには、ひとつの階に特別な鍵をつけ、余分なドアをひとつふたつ設けて担当チームを隠した。チームのメンバーは、自分は極秘プロジェクトにかかわっています、妻や子供も含めて誰にもこのことは口外しません、という特別な契約書に署名しなければならなかった」

 守秘義務のストレスが大きすぎると感じる社員も出てくる。ジョブズはつねづね全社的な情報の守秘義務を社員に説いていた。ある元社員は思い出す。

 「彼はよく“この打ち合わせで話したことを、なんだろうと外にもらしたら、解雇するだけでなく、うちの弁護士の総力をあげて告訴する”と言っていました。僕はそれでとても不安になった。やることなすこと、すべてに気をつけなきゃいけませんからね。夢に出てくるほどでした」

 アップルのオフィスに人を招くことはできるが、訪問者は厳しい監視下に置かれる。社員が片時も離れようとしないので(カフェテリアのなかで、ほんのわずかな時間でも)驚いたと言う人もいる。2011年なかばにアップルの友人を訪ねたテクノロジー業界の幹部は、この訪問についてツイッターで何もつぶやかないように、そして人気のWebサイト、フォースクエアにチェックインしていまの位置情報を知らせないように、と言われた。アップルの世界観からすれば、公開されていない用件で誰かがアップルを訪問していることを明かすだけでも、なんらかの計画を暴露することになりうるのだ(2011年後半に導入されたiPhoneの新しいアプリケーション、ファインド・マイ・フレンズも社内では使えないということだろうか。アップルは「一時的なロケーション・シェアリング」サービスだと説明しているが)。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

注目のテーマ