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» 2012年03月16日 08時00分 UPDATE

嶋田淑之の「リーダーは眠らない」:「激安婚は幸せな結果を招かない!?」――絆ブーム下のブライダル業界がやるべきこと (4/5)

[嶋田淑之,Business Media 誠]

保証金を取らないことでテナントの経営努力をうながす

 前半で触れたように、多くのホテルや結婚式場はレストランであれ、ドレスショップであれ、生花店であれ、美容室であれ、テナントとして入るに当たって保証金を取ることで、やがて自縄自縛となり、結果的に顧客満足度を低下させ、業績低迷と自浄能力喪失を招いている。

 それに対して、ノバレーゼでは保証金を取らないことで、テナントの経営努力をうながし、顧客のどんな「こだわり」に対しても、時代の最先端を行くサービスを提供できるように仕向けているようだ。

 しかし、保証金を取らないことは設備投資に当たっての自社負担が増すことにつながる。そこで、ノバレーゼでは、高級志向の顧客に対しては歴史的建造物でのウエディングや新築ハウスウエディングを展開する一方、マスマーケット層の顧客に向けては、旧来型ホテル・結婚式場の再生事業を広く展開している。

 この再生事業は開発期間が短く、初期投資費用を低く抑えられるだけでなく、再生を通じて、婚礼組数や売り上げを増大させ、その地域におけるブライダル・レベルの底上げと顧客満足度向上に貢献している。また、歴史的建造物でのウエディングの展開は、歴史的・文化的価値の高い建築物の保存・再生という意味で社会的貢献度も高いだろう。

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小さな改善努力の積み重ねが大切

 「従業員満足至上主義が顧客満足至上主義を実現させる」と説く浅田さんだが、従業員満足至上主義がどの程度実現しているかは、全社員の9割を占める女性たちが、結婚する際にそのほとんどがノバレーゼで挙式や披露宴を行っていることで証明されるかもしれない。「内情を知っているがゆえに自社ではやりたくない」というケースが少なくない業界事情を考えれば、こうした自社サービスへの誇りと自信は特筆すべきことだろう。

 一方、それによって結果的にもたらされるという顧客満足至上主義に関してはどうだろうか?

 前述の花火のエピソードだけでも満足度の高さがうかがわれるが、しかし、そうした大きなトキメキの創出ばかりではなく、日々の一見小さなクレームをどう解決し、サービスに生かしていくかも重要な指標となる。

 ノバレーゼの披露宴では引き出物にアンケートハガキを入れておき、送られてきたアンケート内容は、直ちにその店舗だけでなく全社的に情報として共有されるようになっている。また、同社では披露宴のテーブルごとに担当者が決まっているのだが、どのアンケートがどのテーブルのお客の記述だったかが分かるようになっているため、責任の所在が明確になり、クレームなどの指摘内容は、直ちに業務改善に生かされているという。

 こうした小さな改善努力が積み重ねられているからこそ、大きなトキメキの輝きも増すのだろう。これはサービス業全般に言える普遍的な事実であると私は思う。

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