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» 2012年03月16日 08時00分 UPDATE

嶋田淑之の「リーダーは眠らない」:「激安婚は幸せな結果を招かない!?」――絆ブーム下のブライダル業界がやるべきこと (2/5)

[嶋田淑之,Business Media 誠]

保証金制度の功罪

 「レストラン、生花店、ドレスショップ、美容室などが、ホテルや結婚式場にテナントとして入るに際しては、数千万円単位の保証金を支払うということが広く行われてきました。ホテルや結婚式場の側としては、最初に各店舗から保証金を預かることで設備投資のための資金調達が楽になるわけです。

 しかし、いったんテナントとして入ってしまうと、そこに競争はなく、経営努力をしなくてもお客さんが来るという状態になってしまいます。そのため、例えば一流ホテルで行われる挙式や披露宴だとしても、料理であれドレスであれ何であれ、価格的には高級かもしれないですが、いかにも流行遅れのもので、顧客を失望させるケースが少なくありません。

 そうなれば、次第にそこで挙式・披露宴を行おうとする人の数は減り、そのホテルの売り上げは減少していきますよね。ところが、危機感を覚えたホテル側が、そうしたオールドファッションなお店に退去してもらい、時代の先端を行く店に入れ替えたいと思っても、すでに経営的に停滞・衰退しているため、最初に預かった巨額の保証金を返還することができないわけです。

 結果として、最初に入ったテナントがそのまま居座り続け、そのホテルでの挙式や披露宴の数が減り続けるという悪循環に陥るのです」

 新郎新婦側としてはかなり無理をして、時に見栄を張って高額な代金を支払っているのに、出席者側の満足度は非常に低いという、挙式や披露宴にありがちな現象は、まさにこの保証金制度が生み出す悪循環によってもたらされていたのだ

 売り上げを落とし続けるホテルや停滞が続く結婚式場は、ここで一計を案じる。それは「激安婚」「格安婚」という低価格戦略の導入だ。しかし、この戦略には非常に大きな問題が潜んでいるようだ。

激安婚の罪

 長期不況下の日本にあっては、挙式や披露宴にあまりお金をかけられない人も多いが、お金がないならないなりに、手作り感いっぱい、主役も出席者もみんなが心温まるような式のやり方も存在する。

 しかし、いわゆる激安婚はそれとは異なり、心温まるどころか、出席者も新郎新婦もその両親も寒々とした心模様になってしまうケースが少なくないようだ。

 こんな経験はないだろうか?

 世間では一流とされるホテルや結婚式場での挙式・披露宴ということで、招待状をもらった側も精一杯のオシャレをし、それなりのご祝儀を包んで会場に向かう。ところが、いざ出席してみたら、会場に飾られている花はチープで、料理はまずく、進行は時代遅れで、サービスも劣悪。会場側が薄利多売で数をこなすことしか考えていないような、安っぽいあるいはみすぼらしい披露宴。

出席した側としては、何だかだまされたような嫌な気分で、そのカップルの結婚それ自体まで安っぽく思えてしまう……。

 激安婚は、時としてこうした事態を招く。そうなれば、どんなに表面では祝福してみせても、出席者たちの不快感や怒りは確実に新郎新婦に伝わるし、「一世一代の晴れ舞台」をぶち壊されたことによって、新郎新婦とその両親の失望・悲しみは、出席者以上に深いものとなる。そんなスタートを切った新婚生活がその後、幸福なものとなるのかどうか、はなはだ疑問だろう。

 浅田さんは言う。「だから、私は常々言っているんです。『お客さまの結婚式をみすぼらしいものにすることに加担してはいけない』と」

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