アップルの新入社員が、初出社日に“学ぶ”ことインサイド・アップル(1)(2/4 ページ)

» 2012年03月15日 08時00分 公開
[アダム・ラシンスキー,Business Media 誠]

 アップルの広々とした物理的環境は、会社の核にある秘密主義には似合わない。上空から見ると、インフィニット・ループには楕円形のフットボールスタジアムがすっぽり入りそうだが、見慣れていないとアップルの本社だとは分からない。敷地の北側を州間高速道路280号が走っているが、時速100キロで車を飛ばしていれば、本社があることにも気づかないだろう(例外はある。例えば1990年代後半、アップルは「シンク・ディファレント」キャンペーンの一環として、アルベルト・アインシュタインやアメリア・イアハートの巨大な写真をインフィニット・ループ3番地ビルの壁面に掲げ、注意を引いた)。

 アップルのキャンパスの中心部を訪れた人々は、6つの主要なビルをめぐるループ道路を車で走る。それぞれの建物の道向かいには駐車場があり、建物同士は壁やフェンスでつながっていて、複合的な閉鎖空間ができている。ドアを開けてループの中心に出ると、そこは日当たりのいい緑の中庭で、バレーボールのコート、芝生、昼食をとれるベンチなどがある。中央のしゃれたカフェテリア、カフェ・マックスには、握ったばかりの寿司、サラダ、デザート類のスタンドが並んでいて、いつも従業員でにぎわっている。ちなみに、グーグルと違ってアップルでは食事代を払うが、出てくるものはおいしく、料金も手頃だ。よく出る主菜は、ほうれん草炒めにのせたカレイのグリル、サツマイモ添え──これが7ドル。クパチーノ市内に点在するアップルのほかの社屋にも、それぞれレストランのようなカフェテリアが設けられている。

著者のアダム・ラシンスキー(c) Allison Shirreffs

 見た目は大学のようだが、授業を聴講できるわけではない。訪問者が中庭をうろつき、従業員用の開いたドアから建物のなかにもぐりこめる有名な「グーグルプレックス」(なんと奇妙な呼び名だろう)と違って、アップルの建物はみな厳しく管理されている。ときどき中庭で従業員がバレーボールをしていることもあるが、多くの場合、中庭をのぞきこんだ訪問者は、つねに誰かが移動しているのを目にする。定刻どおりに始まって終わる打ち合わせに参加するために、社員が建物から建物へと足早に移動しているのだ。

 内部のオフィスの装飾は地味だ。インフィニット・ループ1番地ビルの4階に、CEOのオフィスと会議室がある。ほかのアップルの建物(賃貸または所有)はインフィニット・ループの周辺に格子状に広がっている。近隣の建物すべてをアップルが管理しているのではない。こうした建物には、マリアーニ1番地、デアンザ12番地など所在地の通りの名前がついている。

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