「オリジナルな自分になりたかった」――エジプトでの貧困層支援のやりがいとは世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/4 ページ)

» 2012年03月13日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

「どうすれば自分が一番イキイキできるか」を考えた

――海外に渡った理由やキッカケを教えて下さい。

内海 私が海外に出ることを決意したのは、大学院在学中に民間企業への就職活動をしていた時、「どうすれば自分が一番イキイキできるか」を自問自答しているころでした。

 民間企業で海外関係の仕事をするという選択肢もありましたが、「自分自身が全身全霊を投じられる仕事がしたい。それは何だ?」と考えて、「これまでずっと興味を持って携わってきた中東和平や開発関係だ」と判断し、その関連の仕事であれば何でもいいからしたいという気持ちで、根気よくそうした仕事をネットで探しました。猪突猛進タイプなのであきらめずに願い続けて、運良く今の職場に行き着きました。

――海外で働くという志向をもともとお持ちでしたか?

内海 もともと海外志向でした。ただ、どうすれば海外で働けるようになるのか正直分からなかったので非常に悩みましたが、「とりあえず飛び込んでしまえば何とかなる!」と信じ、大学院の時に1年間休学してイスラエルとパレスチナにインターンしに行きました。

 始めの半年のイスラエルでのインターン先は事前にメールでやり取りをして受け入れが決まっていました。ですが、その後のパレスチナでは何も当てがなかったので、興味のある国連機関や国際NGOに片っ端から「貴機関の活動についてインタビューさせてください」とメールを送り、なかば履歴書持参で門を叩いていきました。

 そのころ、パレスチナでは微妙な情勢のため、外国人インターンを受け入れている国際機関や国際NGOは当時多くはなく、募集すらしていなかったので、受け入れ先探しは難しかったです。

 しかし、こうした地道な活動が功を奏して、国際NGOに受け入れてもらうことになりました。このイスラエル・パレスチナ留学で得た経験が評価されて、今の職への足がかりになったので、飛び込んでみて正解でした。

――エジプトと日本で異なるビジネスマナーや商習慣があれば教えてください。

内海 実は私はエジプトで新卒社会人になったので、日本のビジネスマナーがあまり身に付いていないかもしれません。経験上言えることは、時間感覚とイスラム教に依拠した慣行が日本とエジプトでは大きく違うと思います。

 時間感覚に関しては、日本人はかなり正確ですが、エジプト人はかなりゆるいと思います。何かを依頼する時にはある程度、遅れることを見越して、余裕を持ってスケジューリングするようにしないといけません。

 イスラム教に依拠した慣行としては、特にラマダンがあります。イスラム教徒は年に1度、1カ月間、日の出から日没まで断食するため、日中活力がなくなり、経済も著しく停滞します。この月は業務時間を短縮する職場が多くなり、仕事が思うように進まなくなります。

――仕事面のほか、エジプトと日本の違いをどういった部分で感じていますか?

内海 エジプト人の口癖で「インシャアッラー」という言葉があるのですが、これは「神のご意思のままに」という意味で、未来のことを話すときに使います。

 例えば、タクシーの中で右に曲がってくださいと言った時でさえも、「インシャアッラー」と言われてしまうことがあり、本当に曲がってくれるかどうか不安になる時があります。この言葉を多用する習慣があることから分かるように、日本のようにはっきり、きっちりと約束をする習慣はあまりないですね。

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