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» 2012年03月08日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:ホワイトハウス・コンサートから文化ビジネスの突破口を探る (1/3)

2月21日にホワイトハウスで行われたコンサートでは、B.B.キングやミック・ジャガーらがブルースを歌った。そのコンサートをヒントに、文化ビジネスで米国に押される日本の突破口を考えてみた。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 ブルースの神様B.B.キング、シンガーギタリストのバディ・ガイ、世界的ギタリストのジェフ・ベック、そしてミック・ジャガーがホワイトハウスを興奮させた。ほんの1、2小節だがオバマ大統領もブルースを歌った。それは2月21日に行われたミシシッピ流域やシカゴで発展したブルースと黒人の文化功績を讃える“ホワイトハウス・コンサート”、「Red White and Blues(外部リンク)」のひとこま。

In Performance at the White House | President Obama Singing "Sweet Home Chicago" | PBS

 著名ミュージシャンを招く官邸コンサートは、これが初めてではない。1978年のカーター政権以来、ピアニストのウラディミール・ホロヴィッツ、ジャズのセロニアス・モンク、歌手のナタリー・コールやリンダ・ロンシュタット、ダンサーのミハイル・バリシニコフも踊った。アーティストにとっての“栄誉の舞台”は政権ごとに開催されてきた。さすが文化国家米国である。この模様は米国の公共放送サービスを通じて公開され、YouTubeでも試聴可能だ。

In Performance at the White House | "Five Long Years" | PBS

文化発信力の日米ギャップ

 「日本でも“首相官邸コンサート”ってあるの?」と思って調べると、福田康夫首相時代に日中晩さん会ライブがあり、w-inds.(ウィンズ)が中国人歌手と一緒にステージに上がった。安倍晋三首相時代には、歌手の谷村新司氏が「麻薬はだめだよ」とライブトークを行った。そして小泉純一郎首相時代、ウクライナ大統領訪日の際にバンドゥーラ奏者のナターシャ・グジーが演奏した。

 いくつかあるが、残念ながら定期的に行われているというものではないようだ。首相が直々に「ちこうよれ」と芸妓を呼ぶ時代ではもちろんないが、「ちこうよれ」を政治ショーにも文化支援にもする米国は懐が深い。思えば、米国は文化と経済が一体になって栄えてきた。

 西のハリウッド(映画)に東のブロードウェイ(ミュージカル)、東西文化の世界輸出が行われてきた。ジャズもブルースもロックンロールもある。他ジャンルでもポップアート、野球やバスケットなどスポーツも。分厚い文化活動に、政治や経済をからめて世界を制覇してきた。一方、日本も豊かな文化を持つが、“文化ビジネス”の成功事例は少ない。漫画、アニメ、ゲームくらいだろうか?

 1980年代、日本はビジネスの世界で米国に一度は追いついたのに、結局勝てなかった。その背景には、政界や財界に文化があまり浸透していなかったからではないだろうか。そこで「文化ビジネスモデル」の強さと、もう一度日本企業が勝つためのコンセプト「ロールモデル」を考えてみた。

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