売り先行となるも先物のまとまった買い戻しも入り堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年02月28日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 エルピーダメモリ(6665)が会社更生法適用を申請し、受理されたということで、目先的な過熱感が強かった市場も一気に売られる場面もありました。為替も円安に振れていたものが一気に円高となり、円高=株安ということで売り急ぐ動きとなったものと思われます。それでも出遅れ感が強い内需銘柄の一角が堅調となり、指数自体も大きく下げることもほとんどみられず、最後は買い上がる動きもみられて高値引け、堅調となり影響も限定的となりました。昨日までの強含みの基調が続いているということで底堅さがみられると売りも引っ込む、ということなのだと思います。

 エルピーダの破綻と欧州金融不安からの円高というように見えますが、ここでの円高はエルピーダ絡みの円高という見方も出来ます。本来であれば、大きく損失を出す企業があるということは日本の景気も悪いということで「円売り」になるはずなのですが、昨年の大震災時と同じように、「日本で大きな損失」→「海外資産の売却」→「外貨から円に転換」ということで円高に振れたと見ても良いと思います。実際にエルピーダに対する債権放棄などの損失額が決まったわけでもなく、資金の調達も海外資産の圧縮ということで決まったわけでもないのですが、円安に大きく振れていたこともあり、思惑先行となったのだと思います。

 元々過熱感が強かったことで誰もが「売る」きっかけ待ちということであったので、為替も一気に円高、株価も下落となったのでしょう。ただ、その割りに為替も株価も底堅さが見られました。大きな流れには全く変化がないこと、大震災の時などと違って実際に海外資産の処分などがあったということではなく、あくまでも「思惑」に過ぎなかったこと、そしてエルピーダの破綻も公的資金が注入された時点で、実質破綻と同じような扱いとなっていたこということなのだと思います。

 何度もこのコラムでも述べているのですが、本当に上がるにしても下がるにしても、そして動かないというときでも極端な動きになることが多くなっています。株式市場も為替市場もいわゆる「アルゴリズム」などの動きが加速している面もあるのでしょうが、目先の動きに敏感に反応するのであれば本当に敏感に反応していかないとどうしても出遅れてしまうのではないかと思います。少しでも遅れてしまうようであれば、逆に大きな流れだけを捉えて些細な動きには右往左往することがないようにした方が良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤

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※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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