マスコミに登場する医者は名医――そう思っていませんか?大往生したけりゃ医療とかかわるな(3)(3/3 ページ)

» 2012年02月24日 08時00分 公開
[中村仁一,Business Media 誠]
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(15)リハビリはすればするほど効果が出る

 どんな状態でも、リハビリを徹底的にやれば、元の状態に戻れると勘違いしている向きが多いようです。

 しかし、どの程度まで回復するかは、おそらく、発症時点でその天(一番いい状態)が決まっていると思われます。つまり、よくなるものしかよくならないというわけです。だが、頑張ったおかげで、こんなに回復したという話がよくテレビなどでとり上げられます。

 あれは、よくなるものが、頑張ってよくなっただけと考えた方がいいと思います。もちろん、頑張ったことは評価できます。けれども、頑張ったせいで、よくならないものまでがよくなったわけではないのです。さもないと、よくならないのは、本人の努力が足りないせいと決めつけられかねません。

 ふつうは、いくら熱心に励んでも、3カ月から6カ月ぐらいで状態は固定してしまうもの。そのレベルを低下させないように心がけることは大切ですが、もっともっとと頑張り続けると、貴重な残りの時間が?訓練人生?になってしまいます。

 例えば、手足がもげた場合、誰ももう一度生えてくるとは思わないでしょうから諦めもつきます。だが、麻痺した手足は、もう一度動かせるようになるのではないかとの思いから、5年も10年も費やして、一所懸命にリハビリをしている人がいます。その人生を空費している姿は気の毒という外はありません。

 リハビリテーションは、リ(再び)ハビリス(人間にふさわしい)エーション(状態にすること)の合成語で、人間が人間にとってふさわしくない状態に置かれた時、再びそれにふさわしい状態に戻すことを指し、必ずしも、病前の姿への復帰を意味するわけではありません。ましてや、手足の機能訓練などという、狭い考えでは決してないのです。

 中国では、再建医学というそうで、残存機能や潜在機能をフル活用し、補助具や車椅子を使ったり、手すりをつけたり、段差をなくしたりして、病前の姿にこだわらず、病気や障害によって失われた生活を、もう一度建て直すことと定義づけられているようです。流石、漢字の国、「再建医学」とはいい得て妙です。

続く

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