医者は病気のことなら何でも分かる――そう思っていませんか?大往生したけりゃ医療とかかわるな(1)(2/3 ページ)

» 2012年02月22日 08時01分 公開
[中村仁一,Business Media 誠]

(2)薬を飲まないことには病気はよくならない

 微熱がある、ちょっと鼻水や咳が出る、少しどこかが痛むなどの症状があれば、すぐに薬を飲もうとする人がいます。しかし、前述のように、薬は援助物資であり、力ずくで病気を追い払ってくれるわけではありません。

 それどころか、症状は早く治そうとする身体の反応、警戒サインですから、それを無闇に抑えるのは「自然治癒」を邪魔することになり、治るのが遅くなると考えた方がいいのです。

 ただ、よほどしんどければ、治りが遅れるのを覚悟のうえで、苦痛の軽減、症状の緩和のために、ごく短期間、薬を服用するのは止むを得ません。

(3)病名がつかないと不安

 この背景には、医学がこんなに発達したのだから、病名さえつけば必ず何とかなるはずという、近代の医療に対する重大な誤解、錯覚があります。「原因がわからなければ、どうしようもない」とよくいわれていることと、表裏をなしているものと思われます。

 感染症と異なり、難病、生活習慣病は、その原因が体質や素質(遺伝子に問題)、悪い生活習慣、老化など多岐にわたり、特定できません。したがって、除去、撃退不能のため、完治ということはないのです。

 それなのに、病名がついただけでほっとするのはおかしくありませんか。

(4)医者にかかった以上、薬をもらわないことには気がすまない

 これも前述の通り、病気を治す主役が薬であるという思い込みによるものです。

 元来、化学物質である薬は異物であり、身体にいいもの、必要なものではありません。あくまで、利益と不利益を天秤にかけて、利益が上回ると思える時のみ使用すべきものです。

 小さい頃からの薬物教育、健康教育の欠如が原因と思われます。

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