コラム
» 2012年02月20日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:ギリシャ支援で欧州債務問題は解決するのか? (1/2)

ギリシャのデフォルトを避けるための支援策が、今夜決まることが有力視されている。しかし、ユーロ圏では競争力がある国もない国も同じ為替水準を採用しているため、根本的な問題は解決していないのかもしれない。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 ギリシャへの支援、1300億ユーロ(約13兆6000億円)は、日本時間の今夜決まるはずである。何度かこの最終決定が先延ばしされてきただけに、もしユーロ圏の財務相が集まってここで決めなければ、楽観ムードが高まっている投資家の間に再び混乱が生じるかもしれない。

 もともとギリシャがハードランディングでデフォルトすれば、ギリシャのみならずEU経済が大打撃を受けるとされてきた。だから、「どのような代償を払ってもギリシャをソフトランディングさせなければならない」というのが各国の一致した意見だった。

 しかし、フィナンシャルタイムズ紙によれば「ギリシャがたとえデフォルトになってもその影響は大したことはない」との見方が出ているのだという。ドイツ、フィンランド、オランダの当局者の間でそういった議論が交わされている。これらの国はいずれもユーロ圏でトリプルAの格付けを維持している国だ。

 とはいってもギリシャを破たんさせれば、民間金融機関の自己資本は毀損(きそん)するし、破たんの後始末に使われるユーロ圏やEU、IMFのカネもばかにならない。ただ、ユーロ圏諸国がギリシャ支援にさまざまな条件をつけた背景には、こうしたある種の「自信」があったということである。

 とはいえ、これで問題が解決したとはいえない。最大の問題はユーロ圏あるいはEUの経済成長が脅かされていることだ。ギリシャの2011年第4四半期は、前年同期比でマイナス7%と大きく落ち込んだ。2012年は全体でもマイナス成長になると見込まれている。

 経済がマイナス成長になる中で、ギリシャやポルトガル、イタリア、スペイン、アイルランドなどは緊縮財政を実行し、財政赤字を削減しなければならない。それが長期的には国の競争力を高めることになるとはいえ、短期的には雇用が減り、賃金も引き下げられる。アテネで見られたような民衆のデモが、今年はこれらの国でいっそう激しくなることも予想される。

 本来、国の競争力を回復させる1つの大きな手段は為替だ。通貨が安くなれば輸出競争力が増す。韓国の企業がテレビなどで日本企業を圧倒するようになった理由の1つは、ウォン安だ。逆に今、日本企業が大きな赤字を出すようになった理由の1つは、東日本大震災やタイの洪水などもあるが、現在の歴史的円高である。

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