大幅高だが週末の手仕舞い売りやヘッジ売りもあって売り買い交錯、指数は小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年02月17日 16時17分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株高や円安を受けて買いが先行、大幅高となりました。日本市場が始まってからも円安気味となったこともあり、週末というわりには案外値持ちの良い展開となりました。ただ、さすがにヘッジ売りや手仕舞い売りも嵩んで上値も重く午後になると方向感に乏しくなりました。日経平均も節目とみられる9200円〜300円水準を抜けて次の節目である9500円〜600円水準を目指すにはまだ目先的な過熱感が強く、買戻し一巡となったあとではいったん調整も欲しいというところではないかと思います。大きな流れは変わった感もあり、基調は強含みに推移して行くのでしょうがまだまだ波乱もありそうです。

 ここへきて、連載休止の話がいくつも出てきました。これまでもテレビ番組から株のニュースが消える、とか株の番組がなくなるというようなことがあると底から株価が大きく反転上昇となることも多かったのですが、今回もやはり、相場の転機と重なった感じです。これまで日本株が割安として放置されてきた一つの要因は「まだ円高が続く」ということであり、円高トレンドを基にもろもろ想定していたことで、PER(株価収益率)が低くても「どーせ円高のせいで業績は悪くなるんだろう」ということで買われなかったのでしょう。

 PBR(株価純資産倍率)がいくた1倍を割り込んでも買われなかったのも、「まだまだデフレが続けば資産は目減りする」ということだったのだと思います。そして、政府や日銀も「円高は困る」といいながらも手を打てず、「円の買い場を提供する」ような介入ばかりで、円高容認のような形でした。それが今回の日銀の対応をみていると、実質的にインフレターゲットとみられる数字を示し、金融緩和を追加することで、はっきりとデフレ脱却に向かう、円安にすると表明したとも捉えられ、そうなると株式市場ではPERでみても、PBRでみても割安銘柄がごろごろしているということになったのでしょう。

 後は個々の企業の努力でその効果、円安方向に振れるということ、デフレ脱却に向かうということを業績に生かしていけるかということだと思います。新興国の生活水準の向上、中間所得層の大幅な増加がみられるなかで需要が増大するものにいかに対応して収益を拡大していけるかということなのだと思います。少なくとも、円高がどんどん進むとか、デフレがどんど進むという可能性はかなり少なくなってきており、大きな流れは変わったとみても良いのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤

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※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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