売り先行となるも日銀の追加金融緩和、物価目標設定が好感されて堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年02月14日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株高にもかかわらず、ユーロ安や外国人が売り越しとなったことなどから売り先行となりました。それでも寄り付きの売りが一巡となったあと、戻りを試し、戻りの鈍さを嫌気してさえない展開になりました。午後に入って日銀の追加の金融緩和やインフレ目標設定が伝えられると最初は反応が鈍かったのですが、徐々に買戻しを交えて金融緩和などを好感する動きになり、堅調な展開となりました。日銀が物価目標を示すなど少し態度に変化がみられたことも買い急ぐ動きとなったものと思います。欧州での格下げの影響などが気になって、最後まで買いきれないということなのでしょうが、改めて日本の金融緩和を織り込んでくると思います。

 午後になって日銀の金融緩和が伝えられても為替も株もほとんど反応がありませんでした。10兆円の買い入れ資金の追加や物価目標=実質的なインフレターゲットを示したことなどもっと好感されても良いのでしょうが、瞬間的に先物に買いがみられたものの、反応は鈍く、みていたこっちが「好材料ではないの?」と思ってしまうような雰囲気でした。結局、好材料として先物主導で買い上がられる場面もみられましたが、欧州での格下げの影響が気になり、ECB(欧州中央銀行)も金融緩和してくるのではないかとの見方からユーロ買いも鈍く、最後まで買い切れないということなのだと思います。

 取引時間中の決算発表などもそうですが、特に経済指標、中国の経済指標も含めて非常に反応が鈍いような気がします。それだけ、材料に反応できる人が市場に参加していないということで、目先の値動きばかりをみている人が多いので、値動きがないと反応できないということなのでしょう。証券会社のコメンテーターの中にも頓珍漢なことをいう向きも多く=ほとんど素人と同じような向きも多く、それだけ市場に反応できる人たちが少ないということだと思います。

 目先の値動きばかりをみて売り買いするのも良いのですが、やはり、実際にこの指標はどういうことをいっているのか、そして株式市場や金融市場にどのような影響を与えるのかを瞬時に見極め、売り買い判断しなければだめだと思います。そこで判断できることこそがいわゆる値動きなどに連れてしか反応できない「アルゴリズム取引」に勝てるということなのです。昔は今の「似非プロ」とは違う本当の「プロのディーラー」がそうしたことには正しい判断をして相場を方向付けるようなことも多かったのではないかと思います。昔の話をしても仕方ないのですが、しっかりと反応できるようにしたいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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