モロッコの良いところを伝えるために――雑貨オンライン販売「ディアモロッコ」世界一周サムライバックパッカープロジェクト(3/4 ページ)

» 2012年02月14日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

モロッコが嫌になったことも

――モロッコに渡った理由を教えて下さい。

宮本 広い世界とさまざまな価値観を見て回りたいと思い、大学時代にバックパックを背負って旅に出ました。欧州、北米などを回りましたが、なぜかトルコへの旅が非常に印象に残りました。

 またトルコのような国に行ってみたいと思い、次の旅行先を考えていた時に、パリで購入したサハラ砂漠のトゥワレグの写真を思い出してモロッコへ。

 初めてのモロッコ旅行の際に夫の家族と知り合いました。夫の実家は18世紀に建てられたクサール(要塞化された村)にある、非常に古い家で、家族の女性たちは全員リザールと呼ばれる真っ黒い布で全身を隠していました。彼女たちの生活や感じていることに興味を持ち、卒論のテーマを「モロッコ女性の暮らし」にしたことがモロッコとの出会いです。

――海外で働くという志向をもともとお持ちでしたか?

宮本 私の場合、国際結婚ありきの海外起業なので、具体的に海外で働きたいという志向はそれほどありませんでしたが、学生時代は国際的なホテルマンに憧れていました。

 子どものこと、英語を習いに通っていたお宅のご主人がアラブ人でした。幼稚園のころに米国のサマースクールに3カ月だけ通ったことがあるのですが、その時の担任の先生がアラブ系でした。不思議な縁を感じます。

――言語の壁以外に、モロッコに来てから立ちはだかった困難はありますか?

宮本 最初は新しいことの連続で仕事も忙しく、寝る暇もないような毎日でしたが、軌道に乗り始めてしばらくしたころに、モロッコが嫌になっていた自分に気が付きました。

 なぜかその時期、モロッコの欠点ばかりが目に付き、食べるものも人の話し方も町並みも、すべてにアレルギー反応のように嫌悪感があり、一時はテレビを付けて、アラビア語が聞こえてくるだけでイライラしていました。

 おそらく、まったく異なる文化の中で暮らして仕事をすることのストレスが一気に出たのだと思います。しばらく、悩む日々が続きましたが、ただ毎日するべきことをしているうちに、またモロッコを好きになっていることに気が付きました。

 具体的なトラブルや困難は今でも数えきれないほどありますが、暮らしが長くなるうちに問題解決能力も上がってくるので、ほとんど気にならなくなりました。

――海外(モロッコ)で働くこと、生活することの魅力について教えて下さい。

宮本 モロッコ人と言うのはなかなか先が読めない人々で、びっくりするような失敗をするかと思えば、こちらが想像もしていなかったような素晴らしいものを作ってくれることもあります。日本で仕事をしていると、経験を積めば積むほど、驚くことは少なくなると思いますが、モロッコの仕事では、毎日が新鮮な驚きに満ちているところが魅力だと思います。

 また、モロッコで仕事をしているということで、モロッコを縁にさまざまな人と出会えることも魅力の1つです。

 暮らしの中では、すべてがゆったりとしたリズムの中にありますから、色々なことを丁寧に行う時間があるということが魅力です。

 例えば、新鮮な野菜や果物を郊外の朝市に買いに行き、丁寧に作った食事をいただけること、父親が昼休みに帰宅して子どもたちとゆっくりと過ごす時間を取れること、週末は郊外の自然の中でさらにゆったりとした時間を過ごせることなどです。

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