それに世界経済へ大きな影響を与える可能性があるのが、イラン情勢だろう。このところイラン側からは強硬な発言が相次いでいる。駐ロシア・イラン大使は「もしイランに対して武力攻撃が加えられれば、米軍は世界各地で反撃を受ける」という主旨の発言をした。さらにアフマディネジャド大統領は「今週中にも核開発について新たな進展を発表する」と予告しており、その内容が注目されている。
もしこの発表がイスラエルにとって重大な脅威になるようだと、イスラエルがイランの各施設を攻撃するかもしれない。実際、パネッタ米国防長官は、今年4〜6月にイスラエルが攻撃に踏み切る可能性があると分析していると伝えられた。1981年、イスラエル空軍はF16とF15、合計14機でイラクのオシラク原子炉を爆撃し、破壊した。ヨルダンやサウジアラビアの領空を「侵犯」してまでも作戦を敢行したのは有名な話である。
イスラエルがイランの各施設を攻撃するようなことになれば、イランはホルムズ海峡の封鎖という手段に訴えざるをえない。そうなったら2012年は「石油ショック」の年として刻まれることになる。原油相場が暴騰するのは間違いないし、日本の場合、ホルムズ海峡を通過する原油の量は全輸入量の8割程度に及ぶため、必要量が確保できないという問題も生じる。
こうした状況を考えると、現在の株高を喜ぶのは時期尚早かもしれない。まして日本の場合は、これに膨大な国や地方自治体の借金という大問題がある。消費税をどこまで引き上げれば財政再建できるのか、それについて民主党政権はまったく展望を示すことができないままだ。「次の世代に負担を先送りしてはならない」という言葉はよく聞くが、それでは1000兆円という借金はいつから減らせるのか、その工程表は定かではない。
「4年以内に70%」という首都直下型地震の確率は50%以下に「下方修正」されたが、日本の債務危機はまさに「いまそこにある危機」なのである。
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