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» 2012年02月13日 19時01分 UPDATE

ちきりんの“社会派”で行こう!:若者が正規雇用に就けない社会の行く末とは (1/3)

雇用問題といえば、かつては扶養家族がいる中高年のリストラなどが取り上げられてきましたが、最近では若年層の失業にも注目が集まっています。若年層が正規雇用に付けないことの意味、そしてそれを解決する際について考察します。

[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2005年4月24日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 以前は中高年の失業ばかりを問題視していた日本でも、最近はようやく若年失業者問題に注目が集まりつつあります。

ah_tiki1.jpg 完全失業率の推移(出典:総務省)

 中高年の失業は、彼らが一家の“稼ぎ手”であること、すなわち妻子を養い、住宅ローンを抱え、親の面倒もみなくてはならない年齢層だったため、大きな問題とされました。若者に対しては「就職できないならコンビニでアルバイトすればいい」という話になりがちなのに、中高年に関しては「一定水準以上の賃金が支払われる正規雇用の確保」が社会的要請と考えられていたのです。

 確かに中高年の失業は“今日食べるお金”の問題としてはより深刻です。しかし若年者の失業は、個人にも社会にも、より長期的かつ深刻な悪影響を及ぼします。

 若いころに職業訓練が受けられないと、長期的なキャリア形成の土台が得られず、本人の経済力が長きに渡って毀損されることに加え、社会の人的資本の蓄積が進みません。報酬の低さから結婚や出産の動向にまで影響を与え、そういった人が多くなれば、今までとは異なる社会階層さえ作られてしまいます。

 また、誰にとっても“報われる経験”が得られないまま努力を続けることは難しく、高じれば社会に敵対的な感情を持つ人も増加するでしょう。生活費を借金することに抵抗感がなくなる(というか、日常的にそうせざるを得ないので慣れてしまう)人も出てきて、貯蓄を通した社会資本の蓄積も行われなくなります。

 こういったことから、今では日本でも多くの人が若年者の就業問題について、大きな問題意識を持つようになりました。

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