好調な業績も見られるが利益確定売りも多く上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2012年02月10日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9002.24▼11.68

<TOPIX>772.77△2.92

<NYダウ>12890.46△6.51

<NASDAQ>2927.23△11.37

<NY為替>77.66△0.63

ギリシャ問題が一段落、好調な業績も見られるが利益確定売りも多く上値の重い展開

 ギリシャの協議が合意に達し、欧州金融不安も一段落となり、買い先行となりました。ただ、既にギリシャ問題は一段落となっており、ユーロは買われたものの、株式市場は利益確定売りに押される場面もありました。中国での金融緩和が遠のいたとの見方もあり、利益確定売りを急ぐことになったのだと思います。好調な企業業績や景気鈍化懸念が薄れていることに加え当面の欧州金融不安も一段落となったことで、売り急ぐ動きもなく底堅さを確認して買い直され、堅調となりました。

 足元の景況感は好転しているようです。欧州金融不安が一段落となったことで信用収縮懸念が薄れて改めて、ドル安メリットや好業績という好材料を織り込みにいくということでしょう。QE3(量的緩和)を必要としないほど景気が拡大しているのかどうかを見極めることになるのでしょうが、いわゆる「金融相場」からいよいよ「業績相場」に移行しつつあるのではないかと思います。ちょうど、景気が悪ければ悪いでFRB(連邦準備理事会)が何とかしてくれる、良ければ良いで素直に好感すれば良いというようにかなり、楽観的にセンチメント上向いているのではないかと思います。

 個別には多機能携帯端末の新型機を3月上旬に発表すると伝えられたアップルが大幅高、連れてというわけでもないのでしょうが、インテルやIBMが小幅高、マイクロソフトやヤフーは堅調とハイテク銘柄は総じて堅調となりました。欧州金融不安が薄れたのですが、利益確定売りに押されて金融株に安いものがみられ、バンク・オブ・アメリカは堅調となったのですが、JPモルガン・チェースやシティグループは軟調となり、キャタピラーやアルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)、フォード・モーターなど景気敏感株は総じて利益確定売りに押されて軟調となりました。予想を上回る好調な決算を発表したフィリップ・モリスは52週高値を更新、ソフトウエア会社を買収すると発表したオラクルも堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高にもかかわらず円安一服となったことや朝方発表された機械受注が予想を下回ったことなどから売り先行となりました。中国の指標の発表を控えて手仕舞い売りに押される場面もありましたが、底堅さを確認して買戻しも入り一時堅調となる場面もありました。本日の先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出に絡む思惑から日経平均9000円の攻防となり、結局ちょうど9000円水準での引けとなりました。相変わらず幕間つなぎ的に値動きの良い銘柄を物色する動きは続き、目先筋の回転は効いているものと思います。

 米国株が堅調となり、為替も円安、特にユーロが堅調となったことから日本市場も堅調な展開が期待されます。ただ、先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出も含めて持高調整の売り買いが中心とみられそうで、新たな買い手が現れるような展開にならないと上値も重いものと思われます。幕間つなぎ的に買われていた銘柄から再度主力銘柄に物色が向かうようであれば、指数も堅調となるのでしょうが、既にある程度の円安傾向を織り込んでいるとすれば、輸出関連銘柄なども上値が重くなりそうです。好調な決算を発表しながら売られすぎた銘柄や出遅れ感が強い銘柄などに見直し買いが入り、先駆した銘柄は利益確定売りに押されるという感じではないかと思います。

 昨日までの動きやシカゴ市場(CME)の日経平均先物の動きをみていると、9000円を超えてからの上値が重くなっています。先物・オプションのSQに絡む思惑で9000円を超えたという印象が強く、ユーロ高を既に織り込んだ部分もあると思われ、引き続き9000円の攻防となりそうです。9000円を超えたところでは売られ、9000円に近づく、あるいは9000円を割り込むようなところでは買われるということだと思います。円安傾向が続くようであれば、次の節目である9200円〜300円水準を目指すのでしょうし、円安一服となると再度8800円〜900円水準での底堅さを確認することになるのでしょう。9000円を付けたことでの達成感も出てくると思います。

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