コラム
» 2012年02月10日 08時01分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:第三セクター鉄道が、赤字体質から抜け出せないワケ (1/4)

第三セクター鉄道の多くは、台所事情が厳しい。その背景に「人口の減少」や「クルマの普及」などが挙げられるが、ある基金がネックになっていることを知っている人は少ない。それは「経営安定基金」というものだ。

[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 南日本新聞Web版によると(参照リンク)、第三セクターの肥薩おれんじ鉄道について、鹿児島県が経営安定基金5億円の全額取り崩しを決定したという。同鉄道の乗客減少傾向が止まらず、赤字が増え続けているためだ。2012年度までに3億7500万円が赤字補てんのため拠出される見込みで、残り1億2500万円は災害など不測の事態のために留保していた。これにも手を付けなくてはいけない事態になってしまった。

yd_sugiyama1.jpgyd_sugiyama2.jpg 肥薩おれんじ鉄道(出典:Google Maps)

 一方、徳島新聞Web版によると(参照リンク)、四国の第三セクター、阿佐海岸鉄道の沿線自治体は経営安定基金を積み増すと決定した。同鉄道の開業にあたり、自治体は5億円の経営安定基金を保有していた。しかし毎年5600万円以上の赤字の補てんに使ってしまい、2011年度末の残額は1500万円まで減る見込みだ。このままでは鉄道を維持できないので、経営安定基金を追加することになった。沿線自治体の積み増し予算は合計で4億2000万円。赤字を理由に取り崩しても数年はもつ。

yd_sugiyama4.jpgyd_sugiyama3.jpg 阿佐海岸鉄道(出典:Google Maps)

 経営安定基金を止めた肥薩おれんじ鉄道と、続ける阿佐海岸鉄道。赤字ローカル線問題についての判断が分かれた。その違いは何か。

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