売りが先行だが、ユーロが切り返し、SQへの思惑もあって底堅い堅調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年02月09日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株は引き続き底堅い堅調な展開となりましたが、為替が円安一服となったことや心理的な節目である9000円水準を抜けたことで達成感が出て売り先行となりました。寄り付きの売りが一巡となった後も外国人が買い越しと伝えられたにもかかわらず手仕舞い売りに押されて下げ幅拡大となる場面もありました。その後は中国の消費者物価指数も予想を上回り、金融緩和期待は薄れる一方で景気鈍化懸念も薄れるというような状況であり、ギリシャ問題も何とか合意しそうだということでユーロが買われて日経平均も堅調となる場面もありました。先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出への思惑もあってか、9000円の節目を越えての引けとなりました。

 本日は突然紙パルプ株が上昇となり、先日の海運株といい、値動きだけを追うような動きが依然として多いようです。ただ、二部株指数はこれで18連騰、日経ジャスダック平均も1日置いてまた連騰となっており、「デイトレーダー」や「ディーラー」などは案外買い方も売り方も回転が効いて、儲かっているのではないかと思います。寄り付いてからしばらく、動きがいいものに飛び乗って、そして飛び降りれば何回転かうまく行っているのだと思われます。値動きが大きなものが多く、値動きさえあれば儲かるというディーラーも多く、指数の動きが鈍い割には、市場全体としては盛り上がりに欠ける割には、盛り上がっている人も多いのではないかと思います。

 先日も突然、海運株が上昇となったときも、「ホルムズ海峡が云々」とか「バルチック指数が34日ぶりに小反発となった」ことなどが取りざたされていましたが、イランの問題はいまだ緊張の中にあり、バルチック指数は反発力が強くなっているのですが、今日の海運株の動きは主役が変わって静かなものとなっています。オフィス空室率が最高と伝えられても、不動産株は嫌気されるのではなく、買われるというようなことも、目先の値動きのあった方に判断したということなのだと思います。

 中国の経済指標も、日本の機械受注も良し悪しを判断するのは発表数字や予想との乖離などでもなく、発表後の株価の動きで良し悪しを判断しているようなところもあるのだと思います。決算動向にも同じことがいえるのですが、そうした株価の反応で下した判断は後から覆されることも多く、目先の値動きにあまり右往左往することもないと思います。目先の値動きに飛び乗ったのであれば、必ずその日のうちに飛び降りるというように、しっかりとした手仕舞いのルールを決めてから目先の値動きについていった方がいいと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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