最初にちきりんが勤めた日本企業では、新卒入社した社員に「格差」を実感させるのに15年もの時間をかけていました。同期の格差は30代後半にならないと“目には見えない”のです。
でも、日本企業も過去10年で大きく変わりました。今でも“古き良き”時代を保てている企業の多くは規制業種です。規制により不当な利益が確保されている企業、業界以外で、今やそんな“やさしい”環境を維持できているところは少ないでしょう。
もちろん外資系金融の世界とはまだ相当の距離はあるにせよ、成果主義導入や昇格の年齢逆転、より厳しい査定と報酬決定方式など、それなりに“違う世界”に近付きつつあるはずです。
また、もうからない事業をいつまでも抱える日本企業では、外資系とはまた違うプレッシャーが個人にかかっています。
名ばかりの管理職として利益責任を追及される契約社員の店長、完全に歩合給与で、成果が上がらなければローンも払えなくなる営業マン、法律ぎりぎり(もしくはアウト)の行為を強要されてまで成果を求められるブラック企業の社員。いつ契約が切られるか分からない契約社員からその日暮らしに近い日雇い派遣まで……。
何が言いたいかといえば、それは「プレッシャーのない世界がなくなりつつありますよ」ということです。
昔言われていた「良い大学を出て、良い会社に入れば」という言葉の後段は、「プレッシャーなく安心して人生を送れますよ」でした。
でも、すでにそんな企業は非常にまれなのです。今から就職する子どもたちについて考えるなら、「そんな場所はもはや存在しなくなる」と言ってもいいでしょう。それは今の40歳以上の人が体験してきた時代とは、まったく異なる世界となるはずです。
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