金融株や景気敏感株が買われて堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2012年02月02日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

世界的な経済指標の好転や欧州金融不安が一服となったことから、金融株や景気敏感株が買われて堅調

 中国のPMI(購買担当者景気指数)が好調とされたことやユーロ圏のPMIは芳しくないものの若干の上方修正、ドイツのPMIも50を超え、大手金融機関が発表した世界製造業のPMIも好転しているなど堅調な景況感を受けて買われ、一時大幅高となりました。注目された米ISM(サプライマネジメント協会)製造業景況感指数もほぼ予想通りで前月よりも改善しており、世界的な景気後退懸念が薄れて買い直されました。決算動向に敏感に反応する動きもあったのですが、欧州金融不安=ギリシャ債務問題も解決が近いとの見方も買い急ぐ要因となり、指数を押し上げました。

 芳しくない決算に反応する動きはみられるのですが芳しくない決算を取りざたして景況感全体の悪化につなげるような動きはありません。徐々に欧州金融不安から世界景気の足を引っ張るという流れから、世界的な景気拡大が欧州金融不安を和らげるという方向に流れているのではないかと思います。世界的な信用収縮ではなく、信用拡大に向かうのかどうかまだ予断は許せないのでしょうが、新興国景気の拡大が世界景気を牽引するような動きになってくるのではないかと思います。

 個別には前日の引け後に芳しくない決算や見通しを発表したアマゾン・ドットコムが投資判断の相次ぐ引き下げもあって大幅安、フォード・モーターやアップルなど景気敏感株の一角は手仕舞い売りに押されて軟調となりました。ただ、GM(ゼネラル・モーターズ)は販売の落ち込みが予想を下回ったことで買われるなど地合いは好転している感じでした。ノースロップ(防衛)やワールプール(家電メーカー)も大幅増益を素直に好感して買われ、大幅減益ながらも減益幅が予想より少なかったということでAOLは大幅高となりました。インテルやIBMなどのハイテク株やキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株は堅調なものが多く、ウォルマートやホーム・デポ、コカ・コーラなど消費関連銘柄も堅調となりました。バンク・オブ・アメリカが大幅高、シティグループやJPモルガンチェースも堅調と金融株も総じて堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株に方向感がみられず、為替が円高ということで売り先行となりましたが、底堅さもみられ、相変わらず方向感に乏しい展開となりました。前日、前々日と全く同じような水準で同じ形となり方向感に乏しい展開でした。決算動向に振らされているような場面もあったのですが、特に売り急ぐことも買い急ぐことも市場全体としてはみられず、決算d農耕に反応しているようで、実は決算発表で動いた方に動くというようなあくまでも目先の値動きに反応しているだけということなのだと思います。

 米国株は引き続き堅調、為替もユーロは堅調となったことから日本市場も底堅い堅調な展開が期待されます。ただ、米ドルに対しては円高が若干進んでいることや続々と発表される企業決算でも円高の影響で冴えない決算となるものも目立ち、上値も限定的となりそうです。為替の影響の少ないインターネット関連銘柄や内需株を物色する動きと、値動きの良い低位株を物色する動きとなってくると思われます。ハイテク銘柄など輸出関連銘柄は買戻しは続き、売られ過ぎの修正はみられるのでしょうが、上値の重い展開となりそうで、指数の上値も限られてしまいそうです。

 今週に入ってからの3日間、日経平均は8770円から8830円の狭い範囲での動きとなっており、目先的にはこの水準をどちらに抜けるかということではないかと思います。8830円を上に抜けても8900円水準では上値も重くなりそうですし、8770円を下回るような動きになると8600円台まで下落となりそうです。東証一部の騰落レシオ(25日)も再び120%を超えてきており、目先的な過熱感もあり、目先的には8800円台固めというよりは、8800円〜900円水準での上値の重さを確認して、8500円〜600円水準の下値を試す場面も出てきそうです。

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