コラム
» 2012年02月02日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:ダルビッシュ会見にみる、“伝わる・伝わらない”の分水嶺 (1/3)

大リーグへの移籍が決まったダルビッシュ有投手が、札幌で会見を開いた。その映像を見て「ファンを大切にしているなあ」と感じた人も多いのでは。彼が会見で示した姿勢……それは日本の政治家に欠けているモノではないだろうか。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

yd_aiba1.jpg

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『震える牛』(小学館)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 米メジャー球団テキサス・レンジャースへの移籍が決まったダルビッシュ有投手。先月、彼が日本ハムファイターズの本拠地札幌で会見をした映像を目にした読者は多いはず。筆者もテレビのスポーツニュースでこの会見に接し、思わず拍手を送った。ファンを大事に思うダルビッシュ投手の思いがストレートに伝わってきたからに他ならない。彼が会見で示した姿勢、実は日本の政治家に一番欠けている点でもあるのだ。

真意が伝わらない会見

yd_aibabook2.jpg フラグマン』(小学館)

 本題に入る前に、僭越(せんえつ)ながら拙著『フラグマン』(小学館/作画:中山昌亮氏)を紹介させていただく。

 フラグマンとは、米国でカリスマ的な影響力を持っていた架空の日本人PRマンのストーリー。米国や欧州では、企業や政治家と契約し、それぞれのイメージ戦略や記者会見対応を請け負う広報対応専門の会社がある。本作の主人公もそうしたキャリアをもつ人物だ。

 作中、日本の電機会社が登場するエピソードを創った。同社の製品が爆発、多数の消費者にケガ人が出た、との設定だ。

 当該企業は、部品の不具合の経過説明や役所への説明の状況を記者会見で開示。この場面を見た主人公のフラグマンは、「こんな経過説明、やらない方がマシだ」と切ってすてる。さまざまなしがらみから、フラグマンはこの企業に緊急でアドバイスを与えることになるのだが、お詫び会見でのお辞儀の角度や、ネクタイの色を気にする広報担当者と社長を前にこう言い放つ。

 『実際に怪我や火傷を負ったのは、お客さんなんです。謝罪は小手先じゃない。謝るべき人に真っ先に謝らない謝罪は、謝罪なんかじゃない』

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着記事

Loading

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -