予想を下回る経済指標や欧州金融不安で続き冴えない展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2012年02月01日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8802.51

<NYダウ>12632.91▼20.81

<NASDAQ>2813.84△1.90

<NY為替>76.25▼0.09

予想を下回る経済指標や欧州金融不安も続き底堅いながらも冴えない展開

 朝方は欧州首脳会議で財政規律強化のための新条約制定で合意したことやギリシャ債務問題も合意すると伝えられたことから買戻しも交え堅調な始まりとなりました。ただ、朝方発表されたS&Pケース・シラー住宅価格指数やその後発表されたシカゴ購買部協会景気指数(PMI)などが予想を下回ったことから売られ、軟調となる場面もありました。それでもQE3(量的緩和)期待も根強く、軟調となる場面では買戻しや買い直しも入りダウ平均は戻りきらずに小幅安となりましたが、ナスダック指数は堅調となりました。

 金融緩和期待が根強いことやドル安メリットを見直す動きなどもあって芳しくない経済指標が見られるなかでも底堅い堅調な展開となりました。グローバル展開している企業などに好調な決算を発表するものも多く、改めて見直す動きも出ていると思われます。金融緩和期待とドル安メリットで堅調な展開が続くと思われ、欧州金融不安は気になるのでしょうが、世界的な景気拡大の流れは続いており、米国市場での信用収縮が起こらない限り堅調な展開が続くと思います。

 個別には決算絡みでは本業が好調ながらも年金費用の計上で減益となったUPSは売られ、増益決算を発表しながらも資産売却などの利益が大きいということでエクソン・モービルは軟調となりました。USスチールは赤字幅が縮小、楽観的な見通しを示したこともあり、大幅高となり、マテルはコスト削減で増益となったことや増配を発表して大幅高となりました。欧州金融不安が一服となったことで金融株は総じて堅調、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェース、シティグループなどが堅調となりました。インテルは軟調、アップルやIBMは堅調とハイテク銘柄は大きな動きは少なくまちまちとなり、キャタピラーやアルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株は軟調なものが多くなりました。引け後に発表されたアマゾン・ドットコムの決算は売り上げが予想を下回り大幅減益、1−3月期の売上高見通しも予想を下回り、嫌気されて見切売りが嵩み大幅安となっています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や円高を受けて売り先行となりましたが、底堅さもみられ、先物にまとまった買いが入ると月末の「お化粧買い」期待もあって指数は小動きながらも堅調な展開となりました。引け際にはお化粧買いが入らないことから見切売りも出て軟調となりましたが、最後の最後は買いも入り8800円台での引けとなりました。TOPIXは軟調で無理矢理8800円台に乗せた感もありましたが、相変わらず方向感には乏しい展開といえそうです。外国人も売り越しと伝えられて、決算発表に反応して右往左往する場面もありましたが、目先の動きに終始しているという感じでした。

 米国市場は軟調ながらも底堅いのですが、日本市場はユーロが安くなったことなど円高が進んだことで冴えない展開となりそうです。決算発表も続々と行われていますが、円高やタイ洪水の被害、大震災の影響で芳しくないものが多く、特に円高の影響は継続しているとみられているだけに円高には敏感に反応してしまいそうです。為替の影響の大きいハイテク銘柄などの輸出株は買い戻し一巡感もあって冴えない動きとなり、指数の足を引っ張る可能性もありそうです。幕間つなぎ的にインターネット関連などで値動きの良い銘柄や復興需要関連などの低位株などに物色が集まりそうです。芳しくない決算ながらも出尽くし感から買われた銘柄などは売りなおされ、逆に好決算ながらも売られた銘柄などは反発も期待されるのではないかと思います。

 引き続き8800円〜900円水準での上値の重さを確認する動きとなりそうです。シカゴ市場(CME)の日経平均先物も円高が進んだ割にはしっかりとしているのですが、円高一服感が出ないと少なくとも上値は重く、円高を嫌気する見切売りが出て下値を試す動きになる可能性もありそうです。中期的にみても何度も述べていますが、円高が止まるという確認が出来ない限り上値が重い状況が続き、8000円台後半、8500円〜600円水準を下値に8800円〜900円水準を上値としたもみ合いが続きそうです。

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