コラム
» 2012年02月01日 08時00分 UPDATE

松田雅央の時事日想:石油を“武器”にできる国はどこ――今と昔の勢力図 (3/3)

[松田雅央,Business Media 誠]
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石油は武器

 中東に対する外交姿勢を日本とドイツで比較すると、介入の度合いはドイツのほうが強い。

 ドイツは現在、アフガニスタンに国際治安支援として実戦部隊を派遣している。駐留する将兵は4000人を超え(2009年)、2001年からこれまでに40人以上の命が失われた。2014年以降も駐留を続けるかどうか、今国会で討議しているところだ。ドイツは中東和平に直接介入している立場から、イラン問題へもより深く踏み込む傾向にある。

 産油国は原油輸出を政治的な武器として用いるが、これは諸刃の剣だ。

 輸出を削減すれば消費国は他の原油輸入先を探し、代替エネルギーへの置き換えを加速させ、結局、石油消費の少ない社会へと移行してしまう。原油の減産や海峡封鎖は、それを“武器”とするはずの自国の経済を疲弊させ、自らの首を絞めるというジレンマに陥る。

 ホルムズ海峡が封鎖されれば原油の輸出ルートが遠くなり、輸送コストの増加、そして小売価格の値上がりは避けられない。この夏をめどに、ホルムズ海峡を迂回(うかい)する陸上パイプライン(約120キロ)の建設が急がれている。

 ギリシャのみならず他のEU諸国にとっても「イランによる石油危機」は大きな痛手であるが、総合的に考えると1970年代のようなパニックは考え難い。EUはイラン産原油の禁輸措置を決めるにあたり、経済的・政治的な威力とデメリットを冷徹に見極めた。石油は産油国だけの武器ではなく、輸入国にとっての武器でもある。

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