トヨタ自動車が2011年12月に発売した、新型ハイブリッドカー「AQUA(アクア)」。同社のハイブリッドカー「Prius(プリウス)」の価格が200万円以上なのに対し、アクアのエントリー価格は169万円。“より買いやすいハイブリッドカー”という位置づけだ。
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トヨタはアクアの発売に際し、「AQUA SOCIAL FES!(アクアソーシャルフェス)」という一般参加型のプロモーションを全都道府県で展開している。アクアソーシャルフェスは、「共成長マーケティング」という新しいプロモーション手法を取り入れた試みだという。共成長マーケティングとはどのようなマーケティング手法なのだろうか?
アクアソーシャルフェスのテーマは「水」。水をテーマに、地元の自然環境を保護・保全する地域社会貢献活動プロジェクトを、トヨタが地元のNPOや地元メディアと協力しながら、日本全国の50会場で行っていく。対象はその地域の人々すべてで、別にトヨタ車を購入検討している人でなくてもかまわない。
プロジェクトの内容も実施時期も、地域によってさまざまだ。東京・神奈川では「みんなの鶴見川流域再生プロジェクト」(3月から)、埼玉では「綾瀬川クリーンプロジェクト」(5月から)、山梨では「富士五湖美化ウォーク」……といった具合。
具体的な活動も、各エリアに合ったものになっている。みんなの鶴見川流域再生プロジェクトであれば、川沿いに植樹・草刈りしたり、川辺の掃除を行ったり……といった活動を鶴見川の源流から中域、下流域に至るまで多層的に展開する。富士五湖美化ウォークであれば、富士山周辺の環境保全と富士山の世界遺産登録を目的に、周辺を清掃したり、同エリアの環境保全に関するセミナーを行ったり……といった内容だ。こういった環境保全活動を、日本の全都道府県、50エリアで行っていく。
こういった活動は、従来であればCSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)の一環として行われることが多かった。主体は企業、そしてイベントそのものが単発で終わりがちだったものだ。これを、主体を企業ではなく「アクア」という商品にし、イベントを一回で終わらせることなく何度でも、しかも全国で展開する……それがソーシャルアクアフェスのポイントなのだ。
CSVとは、Creating Shared Valueの略で、「共通価値の創造」と訳される。ハーバード大学の経済学者、マイケル・E・ポーター教授が提唱する新しい経営コンセプトだ。一過性、単発な試みになりがちだったCSRに代わり、企業の本業を通じて企業が社会的責任を果たし、その中で企業と市民が一緒になって"ソーシャルグッド”を生み出していこう、というコンセプトである。
ソーシャルアクアフェスは、このCSVのトヨタ的な解として実施される。企業の本業とはこの場合、新商品「アクア」のプロモーション、ソーシャルグッドは「水辺の環境活動」ということになる。
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