世界一周中に起業、26歳の若者がスペイン語オンライン学習事業を始めたワケ世界一周サムライバックパッカープロジェクト(5/6 ページ)

» 2012年01月31日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

海外で働くということ

――海外で働く・起業するという志向をもともと持っていましたか?

有村 海外で働くことについては、海外と日本という区別をしたことは少なく、「どこで働くか」についてはニュートラルです。

 しかし、海外に出ていくということが大事だとは、感覚としてとても強く持っています。自分の幼少期を振り返ってみると、米国で過ごさせてもらった経験、海外旅行をさせてもらった経験、大学で再び米国に留学した経験は、自分が意見を言う時、考える時の土台となっています。お金に変えられる価値ではありませんが、大変貴重だったと思っています。

 海外で起業する志向があったかどうかは分かりませんが、今回の旅の目的として、「モノを創る経験をする」を1つ大きく掲げています。「人から必要とされるものをゼロから自分で作ってみたい」という欲求があったので、今回のサービスを開始することができてすごくうれしいです。

吉川 もちろん、そういったチャンスは常に探していました(笑)。

 「海外で働きたい」と意識し始めたのは、高校生ぐらいからです。ニュージーランドで8年間幼少期を過ごし、日本と海外を行き来するチャンスがあったため、あまり意識して日本と海外という線で分けるのではなく、「世界は広く可能性がたくさんある。だから、そのフィールドがどこであろうと、チャンスを形にしたい」くらいに思っていました。

 次に起業についてですが、特にこだわっていたわけではありませんが、自分の父親が自営業を行っていることもあり、幼少期から父の姿を見て憧れていた部分も強かったと思います。

 「自分の志を持って、事を成し遂げたい。その上で社会に対して貢献できれば、これほど面白いものはないだろう……」くらいに思っていて、結果、起業という形が一番理想だと思っていました。

――言語の壁以外に、サービス起ち上げに立ちはだかった困難はありますか?

有村 旅行中に起業する困難の部分では人の問題を挙げましたが、それ以外でいえば通信環境は大きな困難です。グアテマラのネットの回線速度は、日本の20分の1の速度です。また、日本ではほとんど心配することのない停電がこっちでは頻発します。しかも一度停電するといつ回復するか分からない。

 この2つは通信環境が命のサービスにあって死活問題です。現在行っていることとしては、一番速い回線を引くことと、停電に備えた機器の購入です。

 しかし一番大事なことは、停電が発生した時に、現地の人がきちんと対処してくれること。結局、人の問題に戻ってきましたね。

――グアテマラと日本とでビジネスをするに当たって、異なる商習慣や法律などがあれば教えてください。

吉川 商習慣に関して感じたこととして、家族と仕事は切り分けて接する大切さ。

 これは日本もきっとそうだと思うのですが、ここの線引きはグアテマラ人にとってかなりはっきりしている部分だと思います。そのため、仕事の同僚に飲みに誘われたり、家に誘われたりした時は必ず仕事の話をしないように徹底しています。

 相手としては「この時間を使って、もっとあなたのことを知りたいの!」といった意味合いを持っているので、「仕事の問題や悩みは仕事場でやろう。でも、私たちのプライベートではしないでね。」といったメッセージがすごく強くある気がします。

――海外(グアテマラ)で働くこと、生活することの魅力について教えて下さい。

有村 「海外で働くこと」というより、旅を通じて「色々なところで比較するモノサシ」が増えた経験が一番貴重だと思っています。これは恐らく日本に住んでいると一番感じにくい部分ではないでしょうか。何といっても比較するのが難しいくらい単一な民族ですからね。

 「日本ってどんな国なのか?」「日本人ってどんな性格なのか?」「自分たちの暮らしている社会、当たり前と思っている前提がどれだけ周りの国と違うのか?」、これって自分の国で生活しているとなかなか見えづらいものだと思うんです。でも、旅をすることでそれらは簡単に感じることができます。できればどこかにちょっとでも長く滞在できればなお良いですね。

 これは何も「サービスを創る」ということだけではなくても、「日本人である自分は世界からどう思われていて、日本以外の人間が生きている、どういう世界に私たちは生きているのか」ということを知ることができるのは貴重だと思いますし、魅力ではないでしょうか。

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