Apple Store生みの親は老舗デパートを再建できるか?(1/2 ページ)

» 2012年01月27日 08時00分 公開
[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」「ザッポスの奇跡 改訂版(廣済堂)」がある。


 日本のみなさんには今ひとつ馴染みが薄いかもしれませんが、米国にはJ.C.ペニーという老舗デパートがあります。創業1913年で、1928年にはすでに全米で1000店舗を運営していました。1940年代にはウォルマートの創設者であるサム・ウォルトンが小売りの経験を積んだ店でもあります。

J.C.ペニー公式Webサイト

 かつては一世を風靡したJ.C.ペニーですが、店の雰囲気といえ、品揃えといえ、近年ではまったくさえない存在になってしまいました。多少辛辣な言い方をすれば、「デパート」とは名ばかりの安売りの店になってしまったといってもよいでしょう。

『PEAK』

 そのJ.C.ペニーの最高経営責任者にロン・ジョンソンが就任したのは2011年6月のことです。ロン・ジョンソンといえば、Apple Store生みの親であり、米国小売業の「グールー(導師)」とまで称される人です。そのジョンソンが、J.C.ペニー再建の最後の切り札として、「デパート」という概念を根底から破壊し、その店舗の一新を図る、という発表を行い、米国の小売業界に波紋を呼んでいます。

 ロン・ジョンソンと彼のアップルにおける功績については、私が今年4月にコラボ・セミナーを行うチップ・コンリー氏の著書『PEAK』にも書いてありますが、彼はApple Storeのコンセプト作りに「PEAK経営」を応用し、「お客さま自身もはっきりとは認識していないニーズ」に応えることを目指して、ジーニアス・バーのような画期的なサービス・モデルを創り出したといいます。

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