ちきりん:さらに今は、投票日の前に封書が家に届いて、当日はそれを持っていかなければいけない。封書には投票所入場券が入ってますが、あんな紙、簡単に偽造できますよね。実際、不在投票をした人が当日も投票できたりして問題になりました。今の制度もこんなに超いいかげんなのに、「電子投票」と聞くと「それでは他人がなりすませる」と反対する人がいる。意味が分かりません。
他人になりすまして投票することは、今の制度でも簡単です。団地では鍵のかかっていないポストに投票入場券が無防備に放り込まれているし、私は投票所でIDを求められたことも一度もありません。投票入場券には写真も付いていないので、性別さえ合っていればフリーパスです。こんな時代遅れの投票システムを残したままにしておいて、「若者よ、投票に行け」というのは怠慢ではないでしょうか。
もちろん今の議員は今の選挙制度で当選している人たちですから、怠慢というより、意図的に放置しているんでしょうけど。
まあとにかく、1票の格差を是正すること、そして現代的な投票システムを導入する。それがまず必要と思います。そしてそれでも投票率が上がらないのであれば、税金を安くするとか、投票に行かせるインセンティブを検討してもいいかもしれませんね。
中田:なぜ若い人は、投票に行かないのか。その理由のひとつに「自分の願望などが選挙で実現できるかもしれない」という思いがものすごく低いと思うんですよ。
2009年の総選挙では、投票の結果、政権交代が起こりました。ただ、“ろくでもない政権”が続いているので「どっちにやらしても同じだな」と感じている人も多いかもしれない。
ちきりん:大阪のW選挙の市長選の投票率は60%台でした。「政権が変わるかもしれない」と思えば、多くの人は選挙に行きますよね。
中田:知事または市長というのは直接自分で選ぶことができる。僕は衆議院議員と市長を経験しましたが、衆議院議員というのは、あくまで500議席分の1なんですよ。しかもその衆議院議員が総理大臣を選ぶという間接的な仕組み。
では「トップは誰なの?」といった質問になれば、答えは「総理大臣」になる。その総理大臣は誰の顔を見ているのかといえば、自分を選んでくれた国会議員なんですよ。選んだ人を見るということは、人間の行動原理です。
僕は「首相公選制」にしたいと思っています。国民が総理大臣を選ぶ、という仕組みにしたい。そうなれば、今の若い人たちももっと選挙に行くのではないでしょうか。
ちきりん:確かに「誰を」という部分が見えやすいと、投票する側にとってインセンティブになりますね。
2009年の総選挙で、多くの人は民主党政権に夢をもったと思います。でも結局、民主党も1年ごとに総理大臣が変わってしまう。つまり政党を選んでも、中でポストを回し始めてしまう。これじゃあほんとにダメだなあと思いますよね。
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