米国株は堅調だが円高傾向となったことが嫌気されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年01月26日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国市場は堅調でしたが日本市場は昨日の相場で米国株高の要因の一つである米アップル株高を織り込んでいたこともあり、また、米国の低金利政策継続で円安期待が薄れたことから買い先行で始まったものの軟調となりました。幕間つなぎ的に買われていた銘柄もまちまちとなるなど物色対象も絞りきれず、食い散らかした感じで売買高はある程度多いのですが、その割には方向感もなく盛り上がりに欠ける展開となりました。節目とみられる8800円〜900円水準での上値の重さを確認しながら次の展開を待つという感じなのでしょう。

 米FOMC(公開市場委員会)が終わりFRB(連邦準備理事会)のコメントなどをみていても、金融政策の方向性がはっきりとしていてわかりやすいのではないかと思います。米国ではやはり「景気が悪くなってもFRBが何とかしてくれる」ということで安心して投資なども行え、チャレンジもできるということなのでしょう。ですから、新しいビジネスや文化を受け入れながらさらに個々人がビジネスに結び付けていくことができるということだと思います。

 日本ではまったく金融政策の方向性が見られず、為替も本当に円高に対しても何とかしようとしているのかどうかはなはだ疑問です。円高対策が全く取られないままに、投機的な動きも含めて円高になってしまったという感じです。これまでの「介入」ですら、本当に円高を阻止するためではなく、円を安く買いたい人に円を提供したというような介入であり、20年来のデフレに対しても何の対策もなく、個々人の努力、企業努力に任せているというのも変な話です。

 こうした無策の中で何とかしのがなければならないのですから、日本に見切りをつけた企業などが逆に評価されてしまうということではないかと思います。社内では英語を使うとか、英語で会議をするということも「グローバル化」の中では必要なのでしょうが、「日本を良くしよう」ということで「日本語を大切にしよう」とか「円の立場も大切にしよう」ということも必要なのではないかと思います。自国の言葉や為替、政策を大切にして始めて「グローバル化」が図れるのではないかと思います。ですから純粋な国内企業などをもう一度見直してもいいのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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