巧妙な情報ロンダリングに……私は“濡れ衣のデパート”と化した中田宏「政治家の殺し方」(7)(2/3 ページ)

» 2012年01月24日 08時01分 公開
[中田宏,Business Media 誠]
政治家の殺し方』(幻冬舎)

 私に仕掛けられた情報操作もそれと同じで、ありもしない噂をさも事実であるかのように作り上げ、情報をロンダリングしていくのだ。そして、私を追い落としたい市議会議員が支援者に頼んで陳情書を議会に提出させ、さらに複数の議員が結託して公開質問状を提出する。そうなれば、新聞や週刊誌の格好のネタになり、私に関する黒い噂がまことしやかに広がっていくというわけだ。

 私としては、「火のないところに煙を立てられている」のだから手の打ちようがない。噂が消えるのを待つしかないのだが、議会に取り上げられたときには「どうぞご勝手に」という諦めにも似た心境だった。ご承知の通り、議会での議員の発言は何ら罪に問われない。名誉棄損訴訟などは議会の外での対応だ。

 7名の市議会議員から出された公開質問状には、元ホステスとの不倫疑惑から始まり、マリンタワー再生事業の事業者選定にからむ政治献金、後援会会長に対する私有地の違法貸し付け、公用車の私的利用などの質問項目が並び、「よくもまあ、これだけでっち上げられるものだ」と感心するくらい、私への疑惑が満載だった。国会で「疑惑のデパート」という言葉が話題になったことがあったが、さながら私は「濡れ衣のデパート」だった。

 しかし、身に覚えのないことに対しての反論は「そんな事実はない」と答えるしかない。だれだってそう言うだろう。もちろん、「事業者選定の審査会に出たことはないし、委員と個別に話したこともない」「葬式に行くときでさえ自家用車に乗り換え、公用車は使わない」など、説明は尽くす。金を着服しているという疑いには「一体どこにその金はあるのか」、業者との癒着の疑いには「どこで私が『天の声』を発したのか、聞いた人をここに連れてきてくれ」と言いたい。いったいどこにそんな事実があるのか、それらの疑惑に証拠があるのなら、見せてほしいものだ。

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