米国株高やユーロ高を受けて買いが先行、昨日同様に後場からは動きがなくなりましたが、引き続き主力銘柄を中心に買戻しを急ぐ動きとなって指数を押し上げる場面もありました。米国市場で金融株が高かったことから欧州金融不安から出遅れ感が強かった金融株なども買い戻しが入り、ユーロ安を嫌気して売られていたハイテク銘柄や自動車株も週末の買い戻しもあって堅調大幅高となるものがみられました。
堅調な展開となったのですが、しっかりとした材料で買われていたというよりは持ち高調整の買い戻しが続いていたということなのだと思います。いくら米国株高やユーロ高を受けたからといって、銀行株や鉄鋼株などが軒並み5%程度以上の大幅高になるというのもいわば異常な事態といえると思います。復興需要としてこれでもかというほど買われていた橋梁株や道路株は逆にお役ごめんとばかりに手仕舞い売りに押されて一斉に大幅安となるなどいったん動き出すと特段の理由もない中で一方向に大きく動くという修正になっているようです。
動かないときは全く動かず「降れば土砂降り」というような雰囲気で一気の上げ下げとなりました。ただ、これも皆目先の需給要因によるもので、外国人だか、何かのファンドなのだかわかりませんが一斉に持ち高を調整する動きになり、その動きに目先筋の売り買いが重なったということなのでしょう。考えてみれば来週から中国では春節の休暇であり、金融緩和期待も高まるのでしょうし、日銀の金融政策決定会合も、米FOMC(公開市場委員会)を控えていることもあり、空売りの持高(ショートポジション)を抱えたまま週末、あるいは春節を過ごすということにはなり難いということでしょう。
2005年の夏場の暴騰の後や一昨年の1月の高値をつけたところなどいずれも高値となったところでは売買高も、株価も異常な値ということが多く、「万人が呆れ果てたる値が出れば、それが高下の界なりけり」といわれるように、異常値が出たということでここで高値となったとしてもおかしくはないと思います。単に買い戻しに過ぎないものを新たな資金が買いに出てきたと勘違いしないように、しっかりと見極めてからでも遅くはないと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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