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» 2012年01月19日 08時02分 UPDATE

ニッポンの紛争地帯をゆく:「従軍慰安婦」抗議からみえる、日本で起きるデモの「未来」(後編) (1/5)

抗議デモを「参加者目線」でレポートしていく本連載。前編に続き、「従軍慰安婦」をめぐる抗議活動の様子をお送りする。マスコミが報じない現場の混乱から見えてきた「2012年の抗議デモ」とは?

[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 2011年12月、韓国政府が謝罪と賠償を求めている「従軍慰安婦」を めぐって、日本の戦争犯罪を糾弾する市民と、「従軍慰安婦」など歴史的捏造だと主張する市民が霞ヶ関に集結した。まったく異なる思想の2つの「市民」が直接対決するということで、過激な言動で知られる保守系市民団体「在特会」に密着してみた。

 →「従軍慰安婦」抗議からみえる、日本で起きるデモの未来(前編)

「死人が出るかもしれませんよ」

 「取材するなら気をつけてやってくださいね。今日は本当にヤバイですからね。死人も出るかもしれませんよ」

 「在日特権を許さない市民の会」、略して「在特会」の桜井誠会長から、そのように声をかけられた。確かに。ネット上で「反日左翼」と呼ばれる市民活動家の1人は、先ほど私に向かって怒りをあらわにして突進してきた(関連記事)。市民活動のみなさんは全員が手をつなぎ、いわば「人間の鎖」状態。そんな彼らと、過激な発言で挑発をする「在特会」のメンバーが衝突したら……どちらかが手を出した途端、数十人規模の大乱闘に発展する恐れは十分にある。

 なんて思っていたら、「人間の鎖」の人たちは外務省前へ。それを追いかけるように「在特会」も移動していく。

 が、追跡は外務省前をとおる国道1号線(桜田通り)までだった。「人間の鎖」の人たちは、横断歩道をわたって、ゆうゆうと外務省にたどりついたが、「在特会」をはじめ保守系市民団体は、横断歩道を渡ることを許されず、警官隊に足止めを食っているのだ。同じ「市民」でこの待遇の違いはいったい……。

yd_kubota2-1.jpg 外務省前へ向かう「在特会」だが警察に阻まれ、横断歩道を渡ることを許されなかった
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