欧州市場は格下げの影響も織り込み済みで堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2012年01月17日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8378.36▼121.66

<TOPIX>725.24▼9.36

<NYダウ>休場

<NASDAQ>休場

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米国市場は休場、欧州市場は格下げの影響も織り込み済みで堅調な展開

 米国市場は休場となりましたが、懸念された欧州市場も特に混乱もみられず、格下げは織り込まれているものとして堅調な展開となりました。日本市場では欧米市場の動向を見極めたいということだったのでしょうが、昨年時点では13カ国の引き下げといわれていたものが9カ国で済んだという面もあると思われます。

 ユーロは引き続き軟調となっているので、欧州金融不安が払拭されたというよりはさらに混迷しているという面もあると思われます。EFSF(欧州金融安定化基金)などの格下げの影響やギリシャのデフォルトが話題になっていることもあり、混乱の収拾がみえてこないとさらにユーロが売られることになりそうです。

 本日は中国の経済指標の発表もありますが、米国の景気鈍化懸念が薄れ、ここで中国の景気鈍化懸念が金融緩和方向に進んでいるということも含めて薄れてくれば、インドでも金融緩和期待も出てきており、世界的な景気鈍化懸念が薄れ、世界的な景気拡大が欧州金融危機を救うような期待も出てくると思われます。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は先週末の大幅高の反動や欧州各国の格下げを嫌気したユーロ安の影響から売りが先行、大幅安の始まりとなり、その後も先物にまとまった売りが出ると下値を試すような展開で安値圏で小動き、冴えない展開となりました。復興関連銘柄や低位銘柄の中には目先筋の買いが入り堅調なものがみられましたが、指数を押し上げるでもなく、下支えるでもなく相場全体に与える影響はありませんでした。外国人も金額は買い越しながらも株数は大幅売り越しとされ、朝方発表された機械受注が予想を上回ったのですが、特に材料視されることもありませんでした。

 米国市場は休場となり、欧州市場は懸念されたほど売られることもなく、堅調な展開となったことで、日本市場でも一安心となってきそうです。ただまだまだ混乱は続き不安も残ることやユーロ安傾向は続いていることから、欧州景気の影響の大きいとされているハイテク銘柄の一角などは「戻れば売り」という雰囲気になってきていると思われます。中国の経済指標の発表もあり、振らされる場面もあるのかもしれませんが、金融緩和期待が強まると中国関連銘柄などを中心に買戻しを急ぐ動きもみられるかもしれません。世界的な信用収縮の懸念が薄れれば新興国での景気拡大期待から商社株やインフラ整備関連としての電機株の一角などを見直す動きになるのでしょうが、それまでは幕間つなぎ的に内需関連、復興需要関連銘柄の物色が続くのでしょう。

 日経平均は8500円〜600円水準が上値という認識になりつつあります。米国の景気鈍化懸念は薄れているのですが、欧州の金融不安に対して必要以上に神経質になっており、ユーロが下げ止まらない限り上値は限られるという感じです。ユーロに底入れ感が出るということは欧州金融不安が一段落となるということであり、欧州金融不安が薄れれば世界的な景気鈍化懸念も薄れて、素直に米国景気の回復を織り込むことになると思います。日本株も割安感が強いものが多いのですが、欧州金融不安からの先行き懸念が根強く、割安のまま放置されているということであり、ユーロの底入れがみられるまでは安値圏でのもみ合いが続くということでしょう。

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