先週末の大幅高の反動もあって大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年01月16日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国株が軟調となり、ユーロ圏の9カ国の格下げが発表されてユーロが安くなったことに加え、先週末の大幅高の反動もあって売り先行となり、寄り付きの売りが一巡となった後も売りが止まらず一時大幅安となりました。後場に入ってからはいつものと全くといっていいほど動きはなくなったのですが、買戻しを急ぐでもなく、指数は大幅安水準での動きが続きました。ユーロ圏各国の格下げも当初の13カ国から格下げ国数が減少となり、ドイツなどは最上級の格付けを保ったのですが、疑心暗鬼ななかで売り急ぐ動きも出たと思われます。

 サブプライムローン問題=リーマンショックの時も格付け会社のいい加減な格付けが問題になったのですが、依然として格付け会社が絶対的なもののような扱いとなっています。たかが格付け会社という気がしないでもなく、格付け会社ごときに世界中の市場がかき回されるのはどうかと思いますが、反応する人間が多いのですから、いたし方ないということなのでしょう。おかげで、ようやく節目とみられる8500円水準まで戻った相場も再度下値を試すかのような動きになってしまいました。

 目先の値動きを追いばたばたと投資(投機)する向きはそれでも「復興関連銘柄」などが良い動きとなっており、物色対象には困らないのでしょうが、主力銘柄での売り買いを主体としているような投資家は冴えない展開に苦労しているのではないかと思います。いつも、このコラムで述べているのですが、値上がり銘柄も値下がり銘柄も特に材料のないなかでの上げ下げとなっており、上がるから買う買うから上がるというような動きのものばかりという感じです。

 格付け会社の問題でも格付け会社が格下げすると株も売られ、景気が悪いとされて消費なども萎縮し、金融機関や国家財政も悪化し、さらに格下げとなるということではないかと思います。各国政府や金融機関の資金の流れさえ滞っていなければ何もそんなに慌てて萎縮することもないわけですから、萎縮させるような格下げは「害悪」以外の何ものでもないと思います。本来何でもない銀行や国でも格下げで改めて資金繰りに困ってしまうようなところが出れば、「本末転倒」ということなのだと思います。株が上がれば格下げも必要もなく、消費も増えるというように「楽観的」に見たいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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