ユーザー数が200万人を突破した2005年、mixiから発表されたアクティブユーザー率(3日以内にログインしたユーザーの比率)は約70%だった(参照リンク)。2011年3月に発表されたデータによれば、ユーザー数2337万人のうち、アクティブユーザー(30日以内にログインしたユーザー)数は1500万人という。
SNSにおいて月1回のログインを「アクティブ」と呼ぶことが妥当かどうかという議論もあるが、1500万人は東京都の昼間人口にも匹敵する。初期にmixiにこぞって参加した比較的ITリテラシーの高いユーザーだけではなく、2008年に実施された18歳以上から15歳以上への年齢制限の引き下げや、招待がなくても参加できる登録制の導入などを経て、mixiは様々な人が集まる都市にも等しい規模と多様性を持つまでになっている。これだけのユーザーを等しく満足させるのは、非常に困難だ。
リアルグラフ、つまり現実の人間関係をサービスの強みとする以上、そこでケアしなければならない事項は多岐にわたる。IT系のニュースを賑わせた「足あと問題」以外にも、日々様々な対応に追われていると原田氏は話した。サービスの細かな改修のためにグループインタビュー(ユーザーに集まってもらい、現状や新機能について意見を聞いたりしてフィードバックを得る)は日常的に行われているという。
筆者の周囲、例えばFacebookやGoogle+に真っ先に飛びついたようなITリテラシーの高いユーザーの中には「最近はmixiにアクセスすることも少なくなった」という人が多いが、原田氏は「そういったユーザーから得られるバリューは、もともとmixiが持っていなかったものだ」と指摘する。もちろん戻っては来てほしいが、メイン、中心層ではなかったという風に氏は見ている。
つまりmixiは「等しくすべてのユーザー」を満足させようとは考えていない。そういう意味では「全方位」ではない、とも言えるだろう。彼らが重視しているのは、キャズム理論でいうところの、イノベーターやアーリーアダプターのつなぎ止めではなく、マスマジョリティをいかに満足させ続け、他のSNSへの流出や、スマートフォンへ移行する際の離反をどう食い止めるかという点であるはずだ。
しかし、ネットレイティングスによるmixi利用状況の集計方法の改訂、それに対するmixiの抗議も記憶に新しい(参照記事)。外部サイトからの「イイネ!」APIの呼び出しを集計から削除した結果であり、利用時間数ではFacebookを上回っているという形で、ネットレイティングスが見解を発表することで一応の収束をみたが、そもそも一連の数字は「PCサイト」のみを対象としていることには注意が必要だ。mixiのユーザー層については連載第1回で詳しく書いているが、携帯電話からのアクセスが大半を占めるmixiにとって、現在急速に進んでいるスマートフォンシフトは追い風とはなっていない。
いずれにせよ、現在mixiを日常的に使う人々、ボリュームゾーンとして大きい“普通のユーザー”へのケアが、経営の意志決定から企画開発まで含め、リソースのかなりの部分を占めていることは間違いなさそうだ。
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